生活困窮者たちの現場 カナダとフランスの場合

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この世には随分と悪質極まりない餓鬼道みたいな連中がいるものである。

どの国にも生活保護などを悪用しようとする者はいる。
長男と同じ職場のフランス人女性はフランス人旦那や息子と一緒にパリ郊外の生活困窮者用アパルトマンに長年暮らしている。
ちゃんとした所得があるのにも関わらず、である。
そのせいか天罰が下って息子はインターン止まりでまともに就職できないといつも職場で大騒ぎ。
旦那も失業中。
だから本物の生活困窮者になってしまった。

フランスやカナダは生活困窮者向けの衣食住システムが世界の中でも割と充実している方だが、カナダ、というかケベック州はこの記事のような悪い企みが出来ないよう此処数年はかなりチェックが厳しくなり非常に好ましいことだが、うっかりするとその厳しい監視の目を潜り抜けて平気の平左衛門みたいのもいるから油断は出来ない。
そういう場所で働いていれば自然と嘘は見抜けるものだ。
たいがい見分けが付くのは歯。
手入れや治療の行き届いた歯をしている生活困窮者というのは先ず珍しく、中には生まれつき歯の丈夫な人もいるから一概には言えないが。
話している時や、ふと此方が目を離した隙に見せる目の表情も非常に分かり易い。
帽子や前髪、サングラスなどで目元を隠しているのは怪しい部類に入る。
最近ではマスクもあるから幾らでも顔隠しが可能なので見分けるのはほんとに大変な作業だ。
原則は州から発行される生活困窮証明書を提示しないとシェルターには入れないようになっているが、カナダ国籍や永住権、滞在ビザなどを持っていない外国人を受け入れることもたまにある。
これが一番面倒で、そういう輩はかなり手慣れていて次々とシェルターを渡り歩いたりと手口は巧妙で、残念ながら非常に稀だが日本人もいる。
フランス、といっても私はパリでしか働いたことは無いが、カナダよりもフランスは監視や規制が緩く、シェルターによっては誰でもウェルカムみたいなところもあって、それが非難の対象となることも。
ちゃんとした収入があるのにも関わらずシェルターにやって来ては平然と食事をしたり、食べ物や衣類を貰ったりして実はかなり家賃の高いアパルトマンに戻って行く、そういう類も少なくない。
以前はそういうのを追跡する部隊みたいのもあったが今の実態はよく分からない。
パリでも以前に複数の日本人を見掛けたことがあるが今はどうなんだろう。
シェルター勤務の仲間たちから「今でも日本人は時々いるよ」とよく聞くには聞くが。
私にとっての仲間たちというのは夫と同じ修道会所属のシスターや修道士、司祭など。
当たり前のことだが勿論みんな自分の身分を隠して働いている。
フランス人には日本の漫画ファンが圧倒的に多く日本語の聞き取り力が優れている人は少なくない。
「バカ」だの「愛してる」だの挨拶の類等々、話せないけど聞き取れるというフランス人は多いのでその辺の道端で「ばーか、ばーか」なんて言ったら大恥をかくことになる。
日本の漫画力というのは本当に素晴らしい。

シェルターの運営はカナダもフランスも公共、団体、カトリック系の修道会などが携わっている。
シェルターでの医療に携わる医師や弁護士もいる。
うちの彼もその1人。
身分だけではなく変装までして業務に携わる政治家や芸能人もいる。
我々はボランティアでは無いが、ケベック州が我々に支払う額を考えればほぼボランティアに近い。
私の友人である弁護士は自分自身がホームレスと間違われることもよくあって、そのくらい見分けは付かないようにしている。
これは芝居でも何でも無く彼らの素の姿だ。
芝居でやっていたらこんな業務はとても続かず。

二男と長女はそれぞれケベックシティとパリの彼らの職場を通して活動を続けている。
企業参加のパターンだ。
長男は昔から独自で。
生活困窮者の為の賃貸物件を1物件提供している。
カナダもフランスも救助活動をしているからとそれがポイントや功績にはならない。
当たり前だ。
自分の得になる、自分が評価されることを考えてのことであれば救助活動とは呼べず、それは悪行と何ら変わらなくなる。
善悪紙一重というのはそういうことだ。


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