パリ生活 そろそろ2年半

パリに住む長男が、よく「納得出来ない」と怒っていることに、「IDカードの提出」というのがある。
提示、じゃなくて、提出。
モンテーニュ通りにあるカナダ大使館など国の機関ではよくあることだが、民間企業の分際で、そのオフィスビルに入るだけで、入口セキュリティーにて、パスポートや滞在許可証を一時提出しなければならないところがパリには多いと長男が怒っていた。それと引き換えに、セキュリティーカードを受け取って首に提げ、またオフィスを出る時に、それと引き換えに自分のIDカードを貰うわけだが、束のようになったパスポートなどをセキュリティーボックスのようなところじゃなくて、ただのちっぽけな引き出しに、しかも鍵を掛けることも無く置いてあるらしい。民間企業の、受付のオネエチャンに、大事な大事なパスポートや滞在許可証などを一時提出するなど言語道断である。もし何か事が起きたら、フランスのことだ、「セラヴィ」で終わってしまいそうじゃないか。
それだけじゃない。長男が自分のパスポートを返してもらう時に、ずらりと日本のパスポートが目の前に並べられて、「これのどれかでしょ?自分で取って下さい」と受付から言われたらしい。「ボクは日本人じゃありませんよ、カナダ人ですよ」と言うと、「カナダのパスポートってどんなのか分からないから、自分で探してください」と、今度は他の数冊のパスポートを適当に出して来て、まるでトランプのような扱いをしていたと、息子はその信じられない展開に愕然としたらしい。私だって、その話を聞いて引っ繰り返りそうになったね。
パスポートなど重要なものは、そう易々と人を信用して渡さない方が身のため。アパルトマンの大家なんかで、パスポートを一時預かりにしたがる、たかが不動産を貸すぐらいでもうすっかり偉くなってしまったような勘違い馬鹿がケベックにもたまにいるけど、国の機関以外の、そういう一般人にパスポートなどを提出しなければならない時は、警官を立会いに、もしくは警察署内でミートしてから、直ぐにコピーを取ったらその場で返してもらう、というのがケベックの常識。提示することもよくあるけど、それは直ぐに返してもらえるから問題視しないけどね。
カナダでパスポートと同様に大事なのがメープルカード。これは永住権カードみたいなもので、いつも携帯していなければならない。こういうのも、取り扱いを慎重にしなければならない。


さて、そのパリ生活も2年半になろうとしているが、最初は、お付き合いで行っていたレストランの類も、息子は「美味しくないから」と避けているようだ。元来我が家では、ケベックでもどこでも、あまりレストランを使わないのだが、テイクアウトは大好き。パリには、いろんなテイクアウト出来る店が多いので羨ましい。様々なジャンルの馴染みの料理店が7〜8店舗ほど息子にはあるらしく、その中には家庭教師をしている際の生徒さんの家というのもあって、なかなかバラエティーに富んでいる様子だ。
他にも、スーパーマーケットやマルシェなどを探索していた方がずっと楽しいし、美味しいものも見付かると息子は言っていたが、私も同感である。確かに昔と比べると美味しいレストランは激減しているように思う。それなのに、無駄にスノッブな感じの悪いギャルソンや下手糞なシェフ調理人などに費やす金も時間も我々親子には皆無である。
前菜が野菜のクレーム、メインがステーキ、デザートがショコラのムース。

こんな焼き過ぎたステーキ&見るからに冷凍ポテトのメイン、しかもこんな雑な盛り付けでは、まるで金を捨てるようなものだ。

コーヒー又は紅茶なんてのは別料金。ケベックでは考えられない展開だ。

ギャルソンを一人しか置かないという小さなビストロが圧倒的に増えている気がする。だから、彼らは恐ろしく忙しい。




もう今ではすっかり本業の方が忙しく、家庭教師までなかなか手が回らない息子。
教えていた生徒さん全員がグランゼコールに入ったそうで、なかなかの快挙だったが為に、家庭教師のリクエストが山のように来ているらしいが、なんとか土曜日だけ、二人の生徒さんがいて、パリを東へ西へと移動するらしく、親御さんが車で息子を送迎することを条件に「なんとか時間を作ってほしい」と食い下がったとか。教育熱心な親御さんがフランスには多いようですね。教育機関ストライキも多いから当然か。


さて、その息子の大好物が、この唐揚げ弁当。

海苔を省略すると、ビックリするほど安くなる巻き寿司などなど。


最近では、モノプリ散策に目覚めた息子。
私が若い頃に通ったスーパーマーケットがモノプリと合併しているところも多く、前回パリに行った時も、その頃の話を息子に聞かせながら回って見たりしたのだが、食料品売り場が昔と殆ど変わっていないところなどもあったりして、懐かし涙涙な場面も多かった。そんなところを初めとする「昔、母が歩んだ道」を今、息子が、少しずつ辿ってみるようなこともしているようだ。


最近の息子は、行列して買う高級パティスリーへの興味も失せてしまった、というか飽きてしまった様子だ。このご時世だからということもあるだろうが、これからの時代、ブランド名だけで煽ること自体がどんどん難しくなって来るだろう。
先日も、ラデュレLADUREEで買物した際、一緒に行った友人の買ったお菓子にカビが生えていたらしい。店側はそれなりの謝罪はしたらしいが、なんとも誠意の無い態度に嫌気が差してしまったそうだ。カビとはこれまたがっかりな話である。
昔のよきフランスは何処へ・・・と思う今日この頃である。



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