厄日?

今朝も4時起き。
家を出る頃には、また雪が降り始めていた。
お客さんの待つシャトーフロントナックに到着する頃もまだ真っ暗だけど、見事なクリスマスイルミネーションが見られて嬉しかった。
ロビーに準備されているコーヒーを飲んでから、オールナイトポーターのティム・カリーと暫くお喋りして。これ、彼の本名じゃなくて、私が密かに心の中で呼んでいる名前。
こっちのティムね→ こっちじゃなくて、ね→
知る人ぞ知るティム・カリー(上二人同一人物)。




ロビーもまさにクリスマスキャロル♪

イノシシのようなトナカイ。

クリスマス映画のシーンに紛れ込んだような気分。


え?何これ?私の横に写っている天使のようなシルエット(怖! 
ま、シャトーだからいろいろありますけどね。




さてさて、今朝はいろいろありました。
先ずは、ドライバーJがなんと道を間違えたのだ。別に新人でもなく、いつものベテランおっさんJが、これまた在り来りないつもの道のりである空港へ向かう道を間違えたのだ。私は丁度お客さんとの会話が弾んでいて、ほんの一瞬の出来事だった。気付いた時には、高速道路のジャンクションだから逆行することも出来ず、橋を渡って全く空港とは逆方向の南岸まで行っちゃいました。
お客さんの手前、Jに怒鳴り散らすわけにも行かず、冷静さを装って「ケベック橋を行きなさい」とだけ言った。「きっとオレ、寝ぼけていたんだよね?ね?ね?」と頓珍漢なJ。もう一度、静かに「ケベック橋」と言うと、Jったら「どうして?」なんて訊いて来た。「当り前でしょ!ピエール・ラポルト橋を見てご覧なさいよ!どういうことになってるの?」と私は声を荒げたね、小声で。
ピエール・ラポルト橋は、丁度通勤ラッシュで大変な渋滞になっているのがよく見えるのだが、Jには見えないのだろうか。もともと無駄口の多いJだが、こういう時にはそれが途轍もなく迷惑極まりない。「おお、ほんとだ、すごいすごい!すごい渋滞だね、ピエール・ラポルト橋!」とJ。〈こんな時にハイテンションになってる場合かっ!〉
ケベック橋というのは、とても古い橋で、今では丁度旧国道のような感覚で使われている。だから、せっかちな現代人たちは、こぞってピエール・ラポルト橋の方に集中するわけで。とにかく渋滞を避けるのには、あまり人々が使わない旧国道をのこまかのこまか進むのが一番の抜け道なのだ。
毎年、今頃の時期、つまり冬に入る前になると、彼方此方で道路工事が行われ、そのために渋滞を招く時期でもある。ま、今のうちにしっかり工事しておかないと、春先の陥没事故などに繋がるから仕方ないことなんだけど、この秋シーズンは、ケベック市内約70ヶ所で工事をやっているらしい。一度だけ渋滞に呑み込まれて泣く思いをしたので、それ以来、渋滞に掛かる時間帯だけは、仕事開始の2時間前には家を出るようにしているのだ。そこまでして渋滞を極力さけているのに、Jときたら、自らそのトラブルに飛び込もうとしているのだ。〈バカカ?オマエハ〉
道を間違える直前にも、普通に道路を走っていて、車線変更を誤って他の車にクラクション鳴らされていたJ。もうその時からすでに調子が狂っていたのかも知れない。いや、まだホテルを出発する前から変だった。私がコーヒーを飲んでぼんやりしているところに忙しなく落ち着かない様子で現れ、「Bon matin!」(「ボン マタン」。「おはよう」みたいな意味だけど、直訳すると「いい朝だね」みたいな。ケベックでは、年寄り臭い表現と言われている。変に元気な、無駄にハイテンションな爺さんとかいるでしょ?たまに。そういう人たちがよく使います、ケベックでは)ツマラナイいつもの無駄口をグチャグチャ繰り返し、〈煩いなぁ、静かにしてくれよ〉と私は心の中で罵っていたのである。
あ〜あ、これじゃぁ「Bon matin!」どころじゃないだろう。お客さんを乗せているのだ。しかも、空港へ向かっている、これから飛行機に、国際線に乗らんとしているお客さんを乗せているのだ。万が一、間に合わなかったら、なんてことになったらどうするんだ。いや、多めに時間は取ってあるので、乗れないということは有り得ないが、とにかく牛歩並みな、性格的にも反応も牛的なケベック人たちの繰り広げる渋滞である、我々には考え及ばない展開も起こり得るのである。
あくまでもお客さんには気付かれないように普通にしていたが、この秋の渋滞を知っている私は焦り捲くっていた。Jの無駄口ばかりでなく、鼻歌や口笛にもイライラした。〈なんでこんな時に歌えるんだよ〉ケベック人には、焦れば焦るほど、歌ったり口笛吹いたりするのがよくいるのである。無事にケベック橋を渡り終えると、空港までの道路はガラガラだった。ホッとしたと同時に、口の中がカラカラだったよ、ったく!
さて、無事にお客さんをお見送りして、空港内のカフェに座っていると、急にどこからともなくJが現れ、「いや〜さっきは大変だったよねぇ」って嬉しそうに私に微笑んでから、回りにいた2、3人のタクシードライバーたちに向かって「いや〜今朝は大変だったんだよ〜オレ、道を間違えちゃってさ〜・・・・」とまるで武勇伝のように話しているJに、私は言葉も無く、怒りも消え、思考能力もそこでピタッと止まったままで、ただボーッと外を眺めるだけだった。

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さて、そして次は・・・
仕事の帰り道に立ち寄った銀行にて。
自動サービス機の並んだところに、マダム1人、若い男1人、そして私の計3人がそれぞれの自動サービス機の前で操作していた時だった。操作を終えたマダムが帰ろうとすると、突然、若い男が、「オレのカードが作動しないんですよ、ねえ、マダム、今どうしてもお金が必要なんですよ、お願いですよ」とマダムに言い寄っていた。「ノン!ノン!」とマダムは強く言うと外に出て行った。「うわっ、あの男、こっちに来たらどうしよう」咄嗟に私は身構えた。というか、なるべく顔を合わせないように、知らん振りを決め込んだ。フランス語が分からない振りをすればいいのかなとも思った。暫く入り口付近に若い男はいたようだったが、すると突然、開かずのドアみたいなところが大きな音を立ててバーンと開いて、中からセキュリティーの男性が姿を見せた。自動サービス機の裏には、24時間セキュリティーがいるとはよく聞いたことがあるが、本当なんだと今朝あらためて感動した。
でも確かに、あまりひと気の無い自動サービス機の並んだ場所って恐いですよね。用心用心。



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