フランス旅行で思うこと

パリも結構寒くなって来ているらしい。
なんかいかにも厳冬地からやって来ましたというイメージにならないように、着て行くものをいろいろ考えているのだが、寒さのためにフランスのある地方では停電になったというニュースも耳にして、あまり薄着でも大変かなあとか、履いていくブーツまであれやこれやと考え巡らせている。
ケベックとパリ、いろんな面で違うものね。石畳だし、それにまだ犬の落し物も各所にあるんだろうか。公衆トイレもケベックでは考えられないほど面倒だし。なにしろ老いた両親を連れて行くので、たかがトイレ、されどトイレなのである。お金を払ってトイレに入るなんてケベックでは全く考えられないことだし。決定的に違うのが朝食、っていきなりトイレから食事の話に飛ぶが。ケベックでは殆どがブッフェだが、パリでは余程大きなホテル以外はブッフェなんて期待出来ない*1。私が2週間滞在するホテルは、ケベック人仕様に出来ていて、客室もベッドも広くて、なんと朝食がブッフェなのだ。「ケベックの皆さんの習慣に我々はお応え出来るよう日々努力をしております。   ホテル支配人」なんていうご挨拶メールも届いた。ま、ブッフェと言ってもケベックよりずっと種類は少ないようだが。
さて、両親と一緒に旅行する、それも海外旅行するのは初めてだ。なかなか今迄実現せず、やっとそれが叶った時は両親もだいぶ老いてしまったわけだが。母は盲腸の手術以来、あまり歩けなくなってしまった。父はかなりの速さで認知症が進んで来ている。その両親を連れて行くわけなので、私も20代の時のパリ同様とはいかない。
今回のフランス行きを目指してにわかダイエットを始めていたのだがもう諦めた。今頃焦っても無理なのよ!世界のトップモデルや女優さんたちに囲まれて仕事をしている彼…嗚呼、なんだか恥ずかしいなあ〜。なんか段々フランスに行くのがイヤになって来た。彼が知っているのは20代の私だけ。それこそナボコフの小説『マーシェンカ』のテーマでもある【追想こそが現実よりも価値がある】のかも・・・と最近かなり弱気になっている私だ。先程電話でこのことを彼に伝えると一笑に付された。向こうは「またノンノン人形が始まった」程度にしか考えていないことだろう。私がこんなに悩み苦しんでいるなんて想像もしていないことだろう。
もうこうなったら彼にビックリしてもらう他は無い。


後で彼からメールが来た。歳相応でいいと思う、40代後半と50代後半のカップルがどのくらい素適な思い出が作れるかやってみよう、と。読んでいて涙が止まらなかった。

*1:現在フランスでは、小さなブッフェを実施しているホテルが多い