何処までも一軒家 老いても一軒家

日本では、人生100年をどこまでも謳い、信じ、そして老いても一軒家で暮らすという、凄まじい生命力に先ずビックリ。
長寿国では絶えずトップを行く国だが、健康寿命ともなると70代と知ってからは更にビックリ。
それでも尚、老いても一軒家という発想が凄い。
砕け散る命が美しいというお国柄だからなのか、この記事自体、実に不思議に感じた。


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私の暮らすケベックでは50代に入ると揃って第一線を退く準備が始まり、早ければそのまま、もしくは60代には持ち家も売却したり子供に譲ったりして高齢者専用のマンション、もしくは私のところにみたいに、別に高齢者専用を謳っているわけでは無いのに高齢者に「占領」されたようなところに引っ越す、これが一般的なので、高齢者になっても一軒家で暮らすというそのパワーは何処から湧いて来るのかと非常に不思議に思う次第である。

私の住んでいるところはごく普通のマンションだが、もちろん緊急ブザーなどを付ける有料サービスもあるし、すぐ近くに大きな総合病院も複数ある。
最近では、部屋の中で何か危険を感じた時に作動するセンサーなどいろいろあるらしい。
各部屋には最初から火災報知器と気温感知器も設置されている。
メンテナンスサービスはもちろん24時間体制。

午後7時ともなると6棟の建物それぞれの出入り口が閉鎖され、住人以外は入れず、中央入口のみが開いているが、セキュリティを通らなければ入れないので、住人としてはとても安心。
セキュリティも当然ながらの24時間体制。
閉鎖と言っても住人は24時間出入り自由、当たり前だけど笑。
また、エレベーター内や廊下など至る所に防犯カメラも設置されているのも安心に繋がる。

駐車場と各家のカーヴ、これは日本語でいう納戸/物置は地下1~3階に。
食事の宅配、買物や散歩などの補助などフロントに訊けばいろんな有料サービスがある。
一般の賃貸メンテ対象外の、例えば窓際のカーテンやブラインドの設置などは有料。
賃貸物件なので壁や天井、床を替えたり、間取りを変えたりなどはもちろん不可。

大きな冷蔵庫とオーヴンは元々付いているが自分のものを使うことも可能。
通常の大きな皿洗い機も設置できる配管になっている。
私は52歳で退職して、湖🏠を離れて此処に引っ越したのが4年前。
湖🏠と此処とで半々に暮らしていた時期はその更に前に2年間。

だから賃貸マンションでの生活は50代半ばからで、今年でトータル6年目になる。
我が家は「家政夫ナギサさん」みたいに夫婦の年齢差が20歳以上なので、夫の病状次第ではこのような生活になるだろうと若い頃からもちろん覚悟/準備していた。

ケベックでは自宅介護というのも先ず有り得ない。
あったとしたら余程の特例、異例のこと。
自宅介護=危険とみなされるので、無理のあるような自宅介護の家庭などが近所にあると通報されることもあるから要注意。

ちゃんとした施設、しかもその施設も段階があって、認知症などの症状が進めばそれに合った施設に移るシステムになっている。
ケベック州がその判断、診断、手続きなど全てを受け持ってくれるので本当に助かる。

また此処のような高齢者の多いマンションではポストに高齢者専用マンションの宣伝や、もっと先走って葬式の宣伝も入って来る。
老人クラブでは葬儀社と墓場のツアーもあって、しかも観光気分で馬車で周るというツアーなのだが、あまりにもはっきりと現実を直視させられるので、もう却って笑ってしまうようなこと度々。
明るく、というか堅実に、そして現実的に自分の死を見つめる、そんな時間も高齢者になれば必要になって来る。

自分の老後、死後の全てを、子供や親族、周りの人たちに一任するというのは無責任極まりないし、第一「生きっ放し」ほど見苦しいものは無い。
此処のマンションでは認知症が目に見えて進んでいる場合は施設に移ることになるし、健康上に問題がありそうな時は病院に通報されるし、だいたいそれ以前に各人が此処を退去して次なる場所へ移動する。

だから老いても一軒家というのが凄いなと思う訳である。



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