冬の過ごし方

降り積もった雪で辺りは一面銀世界である。
秋後半からこの初冬にかけてほんとに天気の悪い日が続いている。
午後2時を過ぎるともう室内灯が必要なほどだ。
しかしラッキーなことに幼い頃から私は外に出るのが嫌いなので、ケベックでの越冬が結構楽なのである。一日中ずっと家にいて、本読んだり、ピアノ弾いたり、テレビ観たり、書き物したり、昼寝したりと、あっという間に時間は流れる。
家事一切の話が出て来ないところが恐いが。


幼い頃、冬はコタツに入って母の手を握ったまま、母と祖母の会話をぼんやり聞きながらいつの間にか眠ってしまうという過ごし方をしていた。
私という人間の原点〈冬の場合〉はその頃にあり、ぼんやり生活するパターンは今も変わらない。
もしかしてこれって『冬眠』なのかも。それでは私はやはり動物だったのか・・・。
はっきり『冬眠』までとはいかないけど、確かに『準冬眠』であるのには違いない。


寒いのはもちろん苦手だが、越冬ファッションがちゃんと準備されているのだ。
恒例のアイスホテルでの観光で身に付けたものだ。
ケベックに来た頃にはこの寒さが分からず、コートやブーツ選びも誤ったものばかりだった。
昨年だったか、アイスホテルの視察の際、同僚たちから「なあに、まるで雪だるまじゃあない、その格好ったら!」と笑われたが、うふふ、最終的には私の勝利であったじゃないか!(勝利って何の勝利なんですかい?)
何時間外にいても全然平気なように考えられたその越冬ファッションは、ムードも何もなく、あんな格好でデートなどはとても不可能である。
もともと太っている上に着込むのだからまさしく雪だるまそのものである。
なにしろブーツもマイナス40度まで耐えられるというものだ。寒さは足元から這い上がってくる。
このファッションが生み出されるまでには長年を要している。
様々な失敗を繰り返して今に至っているのだ。あとは家の中にいるまでだ。