息子からの苦情

うちの息子は私のブログは殆どバカにして読んでいないのだが、
わざわざParisから久しぶりに読んだという感想、いや苦情を知らせて来た。
数日前のブログに嘘が書いてあるというのだ。
嘘だとぉ?
仕事上でも私生活でも顔がバレてる私のこと、回りは証人ばかりのような生活で、どうやって嘘を書くんだよ!
あの王様のガレットのところだと言う。
はあぁぁ?あれのどこが嘘なんだい?
描写が大雑把で、肝心なことが書いていないと言う。
だいぶ現実を美化して書いていると言うのだ。


一日目は誰にも当たらなかった王様。
そして、二日目に残された三切れを五切れに切り分けてみんなで食べて、そして今年の王様は私だった。と、まあ、こんな感じでしたな。
いや、もっと詳しく書け!と息子が命令して来た。
・・・残り三切れのうち一番大きめの一切れを二つに切った。その際、私はこれ以上太ったら、動けなくなってしまうことを恐れ、その二つに切る時に一方をものすごく細めに切った。その時、ナイフが「ガチッ!」と何かに当たった。何か、って何かしか無いんだけどね。すると浅ましい家族たちは口々に「ああぁっ!」「なんてこった!」「バカ!」「フェーヴを切っちゃったかも!」と騒いだ。
ね、あの時、確かに「バカ!」って聞こえたんだけどね、私。
どさくさに紛れてバカ呼ばわりされても、心の広い私はそんなことにはめげなかった。切り口から、私から切られそうになったフェーヴが顔を出していた。それは間違いなく、その細身に切った、この私が、奥床しく、無欲に、無邪気に切ったその中に入っていたのだ。これは、嘘ではない。小心者な家族諸君もちゃ〜んと直視していたのである。
それから、控えめな私は、やおら自分で冠を頭に被り、全員の皿に取り分けることも忘れて、「きゃ〜!アタシよアタシ!アタシが一番偉いんだからね〜〜みんなして言うこと聞きたまえよ〜へっへ〜〜」と厳かに言い放った。まるで歌うように。すると家族の面々は、まるで呆れ果てたような顔をして、ただただこちらを見上げるだけだった。

独裁国家だな」・・・長男の呟きを私は聞き逃してはいない。
・・・と、いちいち書いていると長くなるから、二行に纏めただけなのに、嘘を書いたと言われちゃな。ったく。ちっ!