フランス語憲章

周りは全部英語系に囲まれているケベック州が、自分たちの存在を周りに強調するために、また自分たちの言葉が消えてしまわないよう保護するために考え出された独自の憲章。
教育の中でも延々とこの憲章についてまるで洗脳されるように繰り返される。
元々がケベック生まれのケベック人であればいいのだろうが、これが外国人である我々にも当然強制されるわけで、その死ぬほど退屈な憲章内容を一応押し付けられることになる。これは企業法にも重視され、フランス語以外の商標や看板、社名などはケベック州としては一掃したいわけで、グズグズとイチャモンつけられるわけですよ。
フランスでもコンピューター用語云々の話が最近盛り上がっていたけど、フランスで「ウィークエンド」とか「ホット・ドッグ」までもフランス語で言いたがる人を私は知らない。その辺はフランスでは融通が利くとケベック在住の我々は感じる。わざわざそんなバカみたいな憲章を法律化することもフランスではあり得ないし…、そう丁度日本の日本語みたいな感覚なのだ。日本に住む外国人に日本はそんなに強く日本語を強制しないでしょ?ま、日本語が出来ないと不便な面も多い、そんな程度だと思う。フランスも大学留学の際には、フランス語のテストが義務付けられ、フランス語が出来ないと授業には付いて行けないと当然謳っているが、だからと言って、商売の看板はフランス語にしろ、とかそういう無茶は言わない。
身近にいるもんね、自分の会社名が堂々の英語のフランス人が。何ら問題も無くこの道何十年。が、ケベック州への進出には大変苦労した話を彼からよく聞いている。


家族や友達がケベック人の私は、この憲章について理解は出来るのだが、あまりにも洗脳国家的なやり方がどうしても理解出来ない。英語の商標を無理やりにフランス語化させるのはどうしても無理・無駄があるし、第一何のお店か分からなくなってしまう場合だってある。その一例がケンタッキーフライドチキン。これが「PFK」⇒POULET FRIT KENTUCKY、フランスも同様かな?一時はファーストフード系は全部フランス語にしよう!なんていう声もあった。マクドナルドまで替えようとして上官たちが時間と金を無駄に使って騒いでいた時もあったよ。
アジア系の商店も、漢字やハングル文字、タイ語ベトナム語などの表記にイチャモンがつくことから始まるのがケベック世界。要するに自分たちの「読めない、解らない」ものを理解しようと努力せずに排除してしまおうとする一貫した態度、これは何もフランス語憲章だけに限らず、ケベックの至る所にあるような気がする。
ところがフランスでは、堂々と自分たちの言葉を表現して商売している人を多く目にした。フランスはもちろんフランス語を最優先するけど、外国語も大事にする、そんな風潮をいつも感じている。日本も同様ですよね。日本人は欧米系には特にやさしい。ま、度が過ぎて、前科者でも平気で語学学校講師に採用しちゃったりもするけどね。レストランのメニューに英語も増えつつあるらしい。