バラとの出会い 

私が生まれた場所のすぐ隣にカトリック教会があり、カトリックだった母を見舞うために、神父が教会の庭の黄色のバラで作ったブーケを持ってやって来た。その神父の名前もラローズ(LAROSE)神父、そして彼はケベック人だったのだ。生まれた時からの私とケベックとの不思議な繋がりである。その教会に、私が10歳の時にケベックから赴任して来た司祭が私の今の夫である。見えない力によって私はケベックに導かれていたようである。夫と出会った時にも、教会の庭には、バラが咲いていた。大きくなっても、そのバラ園にある黄色のバラを見ると、私が生まれた時の話を思い出した。
私の通った幼稚園が、ケベック人の設計した修道院の中にあって、その庭園もやはりケベック人が手がけたものだったらしいが、そこで私は生まれて初めてバラを、バラの美しさを、バラの香りを知ったのだと思う。
一年のうちで一番バラの花が綺麗な5月に聖母行列という行事があって、そこでむせ返るようなバラに飾られた聖母マリアを見た。幼子は恐らく至るところで聖母マリアと出会っているのであろう。その度毎に違う服を着て聖母は現れた。青い空の色の時もあれば、白い百合の色の時もあった。まだまだ物心つく以前の話である。