冬の暮らし 1


ケベックに引っ越して来た頃は、その凄まじい寒さに辟易しながらも、「寒さになんか負けないぞ!」と必死だった。
雪だるまのように着込んでは、外を歩き回っていたものだ。
しかも、当時は極寒観光もあって、−20℃前後の世界で喋り続け、その結果、気管傷めてしまった。
在住10年を過ぎた頃から、毎冬になると肺炎を起こすようになり、熱は40度を超え、当然入院となる。
ここで生まれ育った人たちとは、身体のつくりからして違うのだと、その時はっきりと認識した。
それ以来、寒さになんか負けない!などとは思わなくなった。
まぁ年齢的なものでもあるんだろうし、だいたい自然に対して、勝っただの負けたのっていうのも実におこがましい。
とにかく、呼吸することで肺や気管を傷めるので、外に出る時は、鼻と口をマフラーなどでグルグル巻きにしている。
マフラーや帽子、手袋なども、日本語で何と言うのか知らないが、ポラールという材質を使ったものを使わないと、とんでもないことになる。
手編みを使いたいのに、網目の中に雪が入ったりすると、水気を含んで冷たくなって来る、つまり凍って来るために、今の季節はまったく使いものにならない。残念。
こんななので、外歩きを極力少なくしている。
玄関から車まで、駐車場から建物の中まで、猛ダッシュ
あまりその辺をキョロキョロと見渡したりしていないで、すぐに車や建物に飛び込むようにしている。
外で写真もろくろく撮れない。カメラやビデオが凍って動かなくなるし。
しかし、悪いことばかりではない。
この極寒地に住んでから、幼い時から苦しんだリウマチのような痛みが殆ど無くなったのだ。
室内の完璧な暖房や、保温力に優れた材質の服などが治癒してくれたのかも知れない。
ただやっぱり油断すると、神経痛のようなものが時々やって来るので要注意ではあるが。
胃腸も、日本に住んでいた頃とは比べにならないほど丈夫になった。
湯船や温泉に浸かったり、ホッカイロをこまめに使ったりすることが断然少なくなったのに、である。
身体を温めることは、やっぱり大事だね。