共存

時々ふと湖を見ると、思わず見惚れてしまうような青々とした水を湛えていることがある。

自然が見せてくれるものに同じものは無い。
いつも違う表情、感覚など、人間には作れないものだ。
自然といえば、熊はその後見掛けていないが、真夜中に相変わらず家の周りを散策しているのかも知れない。
昨夜からうちの庭にフクロウも棲みついたようだ。
母がその話を聞いて、「どうしてあなたの周りに動物が集まるのか、不思議だわね」と言っていた。
動物を愛しみ、物静かな人の近くに動物というのは集まると以前にも聞いたことがある。
私はその正反対。
動物が苦手だし、恐いし、ドスドスバタバタと子供たちと一緒にいつも賑々しい家なのには間違いない。私の声はまるで胴間声だし、よく昔から「ただ黙ってそこにいるだけでもうるさい」と親兄弟からもよく言われた。太ってからはそのうるささは尚更で、パリのアパルトマンでは数回うるさいと注意された。「広々としたカナダから来たから仕方ないんだよ」と一人勝手に解釈していたら、息子から「それは関係ない」と哂われた。
そんな私の周りに、昔から動物たちが集まって来ていた。アライグマ、イタチ、リス、スカンク、熊などが、わが家の土地に棲みついたことがよくあった。軒下に鳥たちが巣を作るのは毎度のこと。暖炉の中まで、コウモリや小鳥たちが棲みついたこともあった。市役所やご近所に相談すると、ただ一言「めずらしい」と言われた。よそではそんなこと一度も無いということだ。ケベック人でもなかなか見ることの出来ない銀ギツネも散歩していて擦れ違ったことがあった。よく毛皮になってしまうあれか?う〜ん、もうちょっとよく見ておけばよかった。小さな顔の割りに、やたら尻尾の大きな変な動物だなと横目で見ただけで、銀ギツネの方も、小走りに通り抜けながらチラッと私の顔を見た。水色のような不思議な眼の色だったのが印象的だ。何かの光の加減だったのか。