北米のライフスタイル

今日も快晴。
もう少し、日中の気温が上がってほしいなと思うが。
この時期になると、鳥たちが活動し始める。
私は鳥の種類をあまりよく知らないのだが、知っているといったら、子供の絵本に出て来る程度だ。
この辺でスズメやカモメはあまり見たことがない。ケベックシティに行くとたくさんいるので、もしかしたら都会の鳥なのかな。
雪が解けて顔を出している芝生の辺りを、まるで飛ぶのを忘れたような鳥が、忙しそうに歩いている姿をよく見るのだが、何かの芽を食べているのかと思ったら、地中の虫を食べているそうだ。夫が言っていた。
普通の小型の鳥だったら、そんな姿も可愛いが、カラスだけはそうは行かない。しかも最近、カラスたちは、彼方此方を回っては声高らかに群れを成し、木に止まってただひたすら鳴いてみたり、下に降りて来て何かを啄ばんだりしている。その光景は、まさしくヒッチコックの『鳥』だ。
ちょっと外に出ると、逃げるどころか、こっちに向かって一斉に鳴いて威嚇する。変に毛並みのつやつやと、体も頑丈そうで、群れで威嚇されると、襲われたらどうしよう、とかちょっと不安にさえなって来る。日本では、カラスが群れを成しているのを忌み嫌う風習があるが、そんな影響か、カラスの群れを見ると腹立たしくさえなって来る。
うちの母に言わせると「同じカラスでも、ケベックと日本では鳴き方が違う」んだそうだが、まさかカラスも〈フランス語的生活〉だったりしてね。私には同じに聞こえるけどね。辛うじて日本のカラスは、夕焼け小焼けの歌に似合うような声をしていると思う。ケベックのは、まさに恐怖映画の小道具的に感じる。
ま、いずれにせよ、どこのカラスも可愛くないのである。






さて、昨日の続きだが・・・
わが家の辺りは、湖を取り囲むような住宅街なので、全体的にすり鉢のようで、当然ながら傾斜がかなりある土地が多い。ケベックシティ中心地から車で30分の距離だ。


嘗てケベックでは、あのビル・ゲイツ氏の家が話題になったことがあった。
今でも、建築関係者たちの話題に上ることがよくある。
有名人だから、大邸宅だからという理由ではなく、様々な工夫を凝らした、まさに時代の最先端を行く素晴らしい建築だったからだ。そしてもう一つは、傾斜のある土地を上手に使った最高の傑作だったからである。
詳しくはこちらから↓
http://www.billgatesmicrosoft.com/billhouse.htm
住所から土地面積まで公開されている。
ゲイツ氏の家は、googleの地図でも検索出来るが、同じような土地の条件なのに、周りの家の建て方と全然違うのである。たいがいこうした傾斜地は、土地の上部を、莫大な量の土を使って土盛りをして、土台を作り、それから家を建てるか*1、土地の下部の、元々平らな部分を見つけてそこに家を建てるかの、どちらかの方法を取る(ちなみにわが家は前者である)が、ゲイツ氏の家は、まさにその傾斜に合わせて、傾斜に反発することなく、傾斜をそのまま利用して建てられたものだった。
大きな長い階段状のホールなどは、最高傑作であろう。
家の内部全体も階段状になっていると聞いたことがある。屋根の殆どは太陽熱に対応するエコハウスでもある。
ゲイツ邸の簡単な動画も見られる。




ゲイツウィキペディア日本語版の中で、「エコノミークラス」や「マクドナルド」、ホテルの部屋に関してなどのエピソードがある。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B2%E3%82%A4%E3%83%84
まさに理数科系頭脳の持ち主らしいライフスタイルですね。




土地内に道路や橋を作ったり、ガレージを地下にしたり、なかなかユニークで、見ているだけで楽しい♪
土地の中を流れる小さな川は人工なのだろうか。よく土地の中を自然の小川が流れているという土地は、此方ではよく見掛けるが。
http://www.usnews.com/usnews/tech/billgate/gates.htm
無駄のない、本当に自分にとって必要な要素だけを取り込んだ家という感じがする。
クラシックな内装も、我々ゲイツ世代にとっては、自分の幼年時代を懐かしく思い出させてくれる。これもゲイツ氏から学んだことだ。
たいがい有名人の邸宅というと、無駄に大きいだけの、あってもなくてもいいような装飾ばかりのパターンが多いけど、ゲイツ氏の家は、実に学ぶものが多く、今でも私の教科書というかお手本となっている。
せめて今の家を建てる前に彼の家を知っていたなら、もう少しまともな家が建てられたのに…としみじみ思う。


私の住んでいる住宅街は、土地の広さが平均24000〜32000平方フィートほど。
わが家は30000平方フィートなので、ゲイツ邸はわが家の倍以上になる(比べるのもおこがましいが)。
北米の土地割りというのは、長方形が殆どなので(米国には正方形の土地も多いが、ケベック郊外は特に長方形の土地が大半。これは、移民当時からの土地の形と言われている)、ゲイツ邸の場合は、そういう土地を3つぐらい連なって買ったのだと思う。これも、地図で見るとよく分かる。
別にこの広さというのは、北米では特別な大きさでもないし、わが家の辺りも、特権階級だけが住んでいるような地域でもなく、私をご覧頂いてもお分かりのように、ごく普通の庶民が多く暮らしている。
金持ちは、ゲイツのように土地を幾つか連ねて買うのがこちらではよく見るケースだ。私の住む住宅街でも、一番大きな土地が今のところ56000平方フィートで、元々二つの土地を一緒に買ったそうである。


アウトドア・スパや室内外プール、サウナ、エクササイズ・ファシリティー(ジム)やホームシアター、ホームバー、ギャラリー、ボートハウス、バーベキューコーナー、ウッド・デッキなどは、米国同様ケベックでも、普通の庶民生活でも可能な、特にめずらしいものでもない。家の地下室全部をプールにしているお宅もあるし、サウナやアウトドア・スパ、トランポリン、ボート用桟橋、バーベキュー用品などは、COSTCOでも普通に売られている。


わが家の場合、土地の上部だけ使っているだけで、土地全体が有効に活用されていない。2/3は雑木林だ。
土地を縦断したことはまだ一度も無い。子供たちは何度もやっているが、私は小動物などが怖いので、絶対に出来ない。だからいつもデッキから見下ろすだけだ。確かに景色を買ったと思えば納得も行くが、こうしてゲイツ邸を見ていると、もっと土地を上手に利用出来そうだとあらためて思うのである。
但し!ケベックは雪国だ。どれだけ雪が屋根やデッキにダメージを与えるか、また雪解けの際に、地崩れが生じることもよくある。それを考えるとやっぱりどうしてもちまちまと生活していた方が無難かなと思う。窓一つにしても、あまり大きな開放的な窓やドアにすると、外からの寒さが入って来て、暖房費が跳ね上がる結果に。どこまでも冬向けの建築を考えなければならない。
せめて、土地を縦断する階段か小道を付けようかなと考えた時もあったが、その途中に野ネズミやヘビやスカンクなどと遭遇したら嫌だし・・・と想像しては怖がっているようでは、到底叶えられそうも無い。
マダム・ターシャだったら、きっと自分でいろんなものを植えたりして造園して行くのだろうが、ローレンシャンの土は残念ながら可憐な花は育たない。
一度友人から離れを造ってみては?と提案されたことがあった。離れに和室とかあったら素敵だろうな、庭も日本風に、小さな箱庭のようなのがあったらいいだろうなと、一時だいぶ真剣に考えたことだった。しかし、ちょっとでも建造物の敷地を広めると、市税がぐ〜んと上がってしまう。。市に申告しないで家を増築してはいないかと、しょっちゅう住宅街の上をヘリコプターが飛び回ってチェックしている。広さの単位もエーカーに近くなって来ると、チェックも車と徒歩ではとても無理だ。


私の住むこのローレンシャン地域のS市には、だいたいパリ市が6個半ほどが入る。
だから、市税が多少高くても文句は言えない。ここは地形上、森と湖、そしてローレンシャン山麓が延々と続くわけだが、一番市税が使われるのは、冬の間の除雪だと思う。人が住んでいて、公道であれば、どんな山奥でも除雪車が入って行く。主要道路ではない場合、あまりにも勾配のために、冬の間は閉鎖される道路も何本かある。よくぞこの厳冬地で、人々の生活が成り立っているなぁと、今更ながら感心させられる。


今の家で造り直したい部分がたくさんある。でも、ケベックでは、建て壊して新しくするというのはあまり無い。それをするんだったら、新しい土地を買って、またそこに新しい家を建てた方が安いと言う人もいる。さすが彼らには「開拓者」の血が流れているんだなと感じる瞬間だ。一つ処に拘らないというか。
でも私は今のこの場所が大好きだ。
これで冬がもう少し短かったらとも思うが、そうそうなんでも条件が揃うなんてことは、世界中どこだろうと、なかなか難しいことだと思う。
出来ることなら今の家を建て壊して、自分の納得のいく建材などを使って、小さくて機能的な家を作りたい。
完全に仕事から引退したら、更に田舎に引っ込んでもいいのだが、広いケベック州のこと、土地もよりどりみどりだ。ここから更に北上すると、誰も住んでいない湖がたくさんあって、でもちゃんと分譲されている土地もあるので驚いたことがある。または、家があっても一軒だけとかね。もうああなって来ると、ちょっと人を見かけたりしたら「あ!ヒトだ!」の世界なんだろうね、たぶん。






で、きょうの夕食は、ミートソース。

どういうわけか、ケベックのミートソースというのは、レストランでも、缶詰でも、家庭でも、頭痛がするほど酸っぱいのである。酢でも入っているのかと思うぐらい。しかも、挽肉だけのソースだし(ま、本来ミートソースってそうなんだろうけど)。
だから、必ず自分で作る。特に私は酸味が苦手なので。
いつもトマトソースをかなり入れるが、あんなに酸っぱくならないけどね。不思議だ。
シェリー酒などを入れると美味しいが、今日は、フランスの友人から頂いたカルヴァドスを入れてみた。やっぱり香りが全然違う♪
ミートソースはたくさん作っておいて冷凍保存も出来るから嬉しい。
トマトソースも野菜も無い時に使えるのがこれ↓

ナチョスサルサソースとしてCOSTCOで売られているが、タコライスにもこのまま使えるし、とにかく便利♪
野菜も数種類入っているのでいろいろ使えます。
他にも、トマトジュースや、野菜ジュースを使ってもミートソースが作れます。


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*1:土台を鉄骨で組み立てる場合もあるが、ケベックでは土台は地下室となるので、鉄骨土台は稀だ。