わが家の衣食住

わが家の場合、衣食住の中で「衣」と「食」はだいぶ節約している。
「節約している」というより「節約出来る」と言った方がいいかな?
質素極まりない。


「衣」 お洒落やブランドにも一応それなりに興味はあるけれど、実際に買ったり、身に着けたりということはあまり無い。
ごくごくシンプルで、少しでも長持ちするように大事に着て、仕事着にしても部屋着にしても、制服みたいにいつも同じパターンを洗濯しては日々繰り返し着用、アクセサリーも若い頃に買ったもので充分という、地味路線そのものである。
編み物をするので、といってもただひたすら直線に編んで行くだけという何の芸も無いのだが、自分で編めるものはなるべく編んで使っている。直線といえば何と言ってもマフラーだが、よくブティックなどで、売っているマフラーの編み方を見て真似るのが好きだ。編む技術はトホホなので、ひたすら糸にこだわってみる。自分の好みの毛糸を見つけると、眼に星が入ってすぐ買ってしまう。そしてすぐ形にしてみたいので、ご飯を作るのも忘れて編む、編む、編む。子供たちの「腹減った〜」の声で我に返る。
パリコレを見ていても、裁縫は得意じゃないので、ニット系の作品が出て来ると必死にチェック。以前、シャネルのニット手袋に夢中になり、早速真似てみたら、回りから結構好評ですっかり有頂天になった。なにしろ単純な性格なので、他人の迷惑顧みずに、得意になって、友人たちに編んでは差し上げたりしていた。自分に出来る精一杯のことって感じですかね。限界がほんとに低くてお恥ずかしい限りだ。


「食」 あまり料理には興味が無い。特に手の込んだものは作れない。
星や花の形に食材を切ったりとか、そういう器用なことも出来ない。無理してやると肝心なもの以外のものを切ってしまう。どうしようもない。
漫画『あたしンち』の食卓を見ていると、まるでわが家のようで親しみを感じる。
テーブルいっぱいに料理を並べるなんてそんな手品みたいなことは私には出来ない。何かの理由があってそんな大それたことをすることもあるが、そんなことをするのは、たぶん年に一度ぐらいかも知れない。しかも、余程の気合が入っていないと出来ない。
元々へんちくりんな母親なので、「いいお母さん」を演じることは到底出来ない。子供たちには可哀想かも知れないが、私の子として生まれて来た運命としか言いようがない。こんな親でも、子供たちは真っ直ぐに育った。母親を反面教師にして育ったのだろう、きっと。父親に関しては、うちの場合、ちょっと複雑なので、ここでの説明は割愛する。
食育とかもよく分からない。偏ったものを食べていると自分が気持ち悪くなるので、それはやらないだけ。日本は、女性が女性に厳しい国なので、「おかあさんやすめ」とか「ハハキトク(なんと恐ろしい言葉!)」とか、なんか一所懸命に母親やっても怒られそうな感じだ。
あの献立のどこが悪いのか私には分からない。野菜やたんぱく質がちゃんと入っていればいいじゃないか。カレーライスやハンバーグ、餃子などのどこが手抜きなんだろうか。野菜を刻んだり、煮込んだり、練ったりと、なかなか手の込んだ料理だと思うのだが。サンドイッチや麺類だって、栄養が偏っていなければ立派な献立だろう。お母さんの手作り料理なんてそれだけで立派じゃないか。カタカナ料理を目の敵に、ひじきや魚、野菜に豆類、よく噛んで顎を強くし、丈夫な体を作り、とかなんとか、日本に住んでいた時、長男の持って来る学校給食献立のタイトルに「これでもか」と書き綴られていたのを懐かしく思い出す。台所に立つお母さんたちを監視し、喝入れしているようだ。ま、でも確かにその通りな内容が書いてあるんだけどね。
「おかあさんやすめ」など、ケベックのお母さんたちが聞いたらきっと卒倒するよ。よくケベック人の家庭では、スパゲティーミートソース、ピザ、ホットドッグ(野菜無しのソーセージだけ)、サンドイッチ(ピーナッツバターだけというのがすごくポピュラー。これには私も驚いたけど、チキンハムとトマトとサラダ菜を挟んだサンドイッチを持たせると「料理の上手いお母さん」と呼ばれるんだもんね。日本のキャラ弁なんかケベック人にはまさしく手品か神業だ。幕の内弁当なんか彼らには、おお素晴らしい美しいと大絶賛だもんね)、〈買って来た〉パテシノワ(内容はプレコロッケと似ている)など、だいたい5種類ほどのレパートリーがぐるぐる回るというのがケベックでは一般的な夕食と言われている。だから食事時間も、用意するのも食べるのも早い。午後6時はもう彼らの食後タイム。これからわが家で夕食を食べようとしている時に、近所の子供が「あそぼ」なんて来るのはよくあること。子供宛に掛かって来る電話もその頃に集中。「なんなの?食事時だってのに」と怒っているのは私だけで、ケベックの一般家庭ではもうすでに夕食が終わってるんですよ。一度聞いたことがある究極の夕食ってのが、アイスクリームとポップコーンというメニュー。わが耳を疑ったけど、北米では別に珍しいことでもないらしく。
もちろんこれが全てというわけではなく、ケベックにも(ベジタリアンってことじゃなしに)野菜を中心とした食事をする人もいるし、なかなか手の込んだ豆料理やデザートなども一般的だ。


「住」 これの節約はちょっと難しいかも。住む場所だけは安定していないと、どうも具合が悪い。
「ここが私の家」というのがないと、なんか根無し草になったみたいで、どうにも不安になる。
どこに住むにしても自分の家がほしい。
北米では、タイニーハウスといって、驚くほど小さな家を建てたり、その家ごと移動したりするという面白いプランもあって、なかなか興味深い。定年後に、ヨットやキャンピングカーを家として、彼方此方移動して暮らすライフスタイルもあるが、いずれにせよ、どこに住むにしても「自分の家」があればそれでいい。
星占いに「かに座は自分の家を持つことを生きがいとします」と書いてあった。合ってる。
ま、カニというかヤドカリみたいだけどね、私の場合。
そんな私がよく見ているページがここ → ☆★☆
年齢と共に持っているものをどんどん減らして行って、こんなタイニーな生活もいいな。
ヨーロッパでもこれが出来たら面白そうなんだけどね。
梯子階段は私にはつらそうなので、せめてこのくらいのがいいな。
 

洗濯乾燥機は私には絶対に必需品なので、どうしても定住型になっちゃうけどね。