ルームシューズ

日本のドラマなどを見ていて、日本家屋とは別に、和室なんかまるで見当たらないような、豪く西洋かぶれでゴージャスな室内をよく目にするのだが、その度に感じるのは、あの、どこのスーパーにでも陳列されているような、とってもお気軽なスリッパで出演者たちがスッタラスッタラと家の中を歩き回る場面は、本当に見ていて気分が萎える。あそこまで西洋化に徹するのであれば、せめてスリッパではなくて、ルームシューズでも履いてほしい。
シャネルのルームシューズも可愛いよね。



ケベックでは、靴のまま家の中を歩くことはあまり無い。元々雪国だからなのか、昔から手作りのルームシューズなどがあって、これがまた楽しい。しかし、冬以外は、来客に限って靴を脱がせるということはしない。空気も乾燥しているので、冬や雨の日以外は、家の中が泥だらけになることもそうそうには無い。来客にまで、いつでも必ず靴を脱がせるのは、日本人宅に多いらしい。あれって地元の人たちからは、結構疎ましく思われるんだよね。陰で彼らが言っているのを何度か耳にしたことがある。
これは何もケベックに限らず、フランスの友人宅なども、来客に靴を脱がせるということは無いが、家の中ではルームシューズで過ごすのが一般的なようだ。
形も様々で、モカシン型が一番人気だろうか。他にも、普通の靴、女性だったら低めのヒールとかを室内用に使っている人も多い。
ケベックに来たばかりの頃、あのスリッパのような室内履きを履いたままリビングにいると、「寝室用スリッパで家の中を歩き回っているのか?」などとケベック人たちから不思議そうな顔をされることがあって、それ以来、寝室とそれ以外とに履き分けもするようになった。


スリッパ以外に気になるのがカーテンなど、窓際の演出。その、西洋かぶれ気味の演出の場合、ですよ。
家具や小道具、BGMばかりなどは物凄く凝っているのに、ふと窓を見ると、どうでもいいようなカーテンが使われていたり、無駄に高そうなだけのカーテンなどなど。
ま、でもある意味、在り来たりなカーテンやスリッパを見ると、日本の実家に帰ったような、妙な懐かしさも感じるけどね。
それに引き換え、渋い日本家屋などを見ると、心から憧れて見入ってしまう。障子や畳、土壁などは、永遠の憧れだ。


先日、ある芸能人の住んでいるマンションの画像を見たが、家賃が、それこそ目が飛びぬけるほど高いらしいが、ほうぼうのベランダに、洗濯物干し竿が出ているのを見たら、激しく興醒めしてしまった。欧米でも、もちろん外干しはするが、あのレベルのマンションではまず見られない風景だ。
国それぞれ、お金を掛けるところがきっと違うんだね。