言語生活  似てない親子編

ケベック州での生活は、もちろんフランス語が主流だけど、例えば商品表示などは数少ない例外を除けばフランス語と英語で表記されている。私の第二言語は英語なので、フランス語の意味が解らない時には英語に切り替えれば理解出来るという場面も多い。しかし、フランスでの商品は、大半がフランス語だけの表記なので、いつもの癖で読解不可能の部分が出て来ると、咄嗟に商品を裏返しにしたり、ひっくり返したりして英語の表記を探している自分がいる。もうこうなったらフランス語オンリーで頑張る他無いのである。
それにしても、だ。フランス人の下手な英語にはいつも驚かされる。ドーバー海峡を挟んであんなにイギリスと近いのに、どうしてあんなに英語が下手なのか? ケベック人も下手だけど、それでも英語を話そうとする人はかなりの数だ。またこちらが英語で話せば英語で返して来るのが常だ。しかし、フランスでは、例えこちらが英語を話しても、頑として受け答えはフランス語の人が殆どだ。レディーファーストってことでもないのだが、女性に言葉を合わせるのがケベックでの常識なので、それでも絶対的にフランス語で通す男性などを見ると更に驚いてしまうのである。
だから、私と親しくしているフランス系の人たちは、皆揃って英語も上手に話す。更には日本語を使ってくれる人には感謝感激なのである。こうして呆れた自分本位な言語生活を送っている私だ。
ネイティブなフランス語を話す息子は、フランスでの英語教育普及に携わっているから面白い。人種を問わず、比較的文法の簡単な英語は話せた方がいいというのが息子の考えだ。息子の本来の専門は、数学と物理と化学なんだけど、これはフランス語で教えている。今度はソルボンヌ大学発祥の学部である哲学と神学も専攻するそうだ。よく頭の中がゴッチャにならないものだ。