熱い恋

熱い恋 (新潮文庫 サ 2-6)

熱い恋 (新潮文庫 サ 2-6)

これは私の大好きなサガンの小説だが、「第3部 秋 第18章」で主人公のリュシールがパリのアルマ広場でいらいらしながら乗り慣れないバスを待つ場面がある。
その瞬間彼女はにがにがしく自分の車をもたないことを悔んだ。幌の上の雨の音と、ぬれた石畳を用心しながらとるカーブが懐かしかった。金銭の本当の唯一の魅力は、待つことや、いらだちや、ほかの人たちが避けられることだ、と彼女は思った・・・・・・(『熱い恋』サガン著 朝吹登水子訳 新潮文庫より抜粋)≫