呆れる親

子供がいると、どうしても親同士の付き合いもあるし、
自然に子供の行き来が生じて来て、
それが悪く昂じて来ると先日のようなトラブルもあり得るわけだが。
今までにも何度か頭に来たことはあった。
例えば・・・

  • 約束した時間よりも一時間も遅れて子供を迎えに来た。「買い物していたので」が理由。悪びれる様子も全く無し。
  • 土地内とはいえ、運転免許の必要なスノーモービルを子供たちに操縦させた。スノーモービルが転倒、下敷きになった子供もいた。
  • 長時間エンジンを掛けたままの車のすぐ近くで遊ばせた。エンジンの掛けっ放しは違法。それも真冬はガスが地面近くに溜まるので子供にとっては大変危険。三日間ほど排気ガスの臭いが子供の身体から取れなかった。
  • 子供を預かっておきながら、子供だけを家に残して数時間出掛ける親など多数いる。後で子供から聞いて驚く。
  • ヘビースモーカーの大人たちに囲まれ、着用しているもの、持ち物全部がものすごいタバコ臭。せめて子供から離れて喫煙出来ないものか。

ざっと考えてもこのぐらいは思い付く。
その中でも極め付けだったのが・・・・


これは長男が小学生の時の話。
日本でいうこっくりさんのような遊びはこちらにもある。
チェスやオセロ売り場にも売っている『OUIJA』というものだ。
私も小学生の時、こっくりさんに夢中になったものである。
長男はDちゃんと仲良くなり、彼女の家によく遊びに行ってはこのこっくりさんみたいな遊びに興じていた。そんなことは別に構わないのだが、ある日長男は妙なことを言い始めた。
「あのね、お父さんもお母さんもやっているんだけど、時々お友達とか来て大人だけでテーブルの周りに座って遊ぶんだよ」
とても穏やかな両親で、親切で、何かと助けてもらったことも多い。
私は最初ポーカーか何かだと思って適当に返事していた。
ところが今度は
「僕もね、Dちゃんと一緒にその中に入って遊んだの」
「へえ、カードなんてあなたたち解るの?」
「カード?違うよ。男の人を呼ぶの」
「男の人?友達とかいう人?」
「友達・・・・っていうか・・・でもその人、生きてないし」
「ええっ!?」
手を繋いで丸くなって座って何かを唱える?
それって交霊術だよ〜!
そんなのに勝手に人の子を交えて行うなんて〜!
よくよく息子から話を聞くと・・・
なんでもその降りてくる霊は男性で、名前もあって、いつも同じ霊が降りて来たそうだ。
生きている時に殺人を犯し、捕らえられる前に自殺した男性らしい。
そこまで話がはっきりと明確なのも、本当に気味が悪かった。
その親に抗議の電話を入れると、逆に「どうして悪いことなのでしょうか?」と開き直られた。
更に、口調はいつもの穏やかなままで
「今度是非ご夫婦揃っていらして下さい。何でも教えてもらえますよ、彼から」
彼から?そんな訳の解らない幽霊から何を教えてもらうのだ。何を尋ねるというのだ。
即座に断り、電話を切って、ツルカメ!ツルカメ!
それ以来、Dちゃん家とのお付き合いは全く断ち切った。
それから暫くして、仲の良い、その穏やかなご夫婦は離婚、住んでいた家も売却され、現在の彼らの行方は知らない。2人のお嬢さんも一人は精神異常をきたし、精神病院に入っていると耳にした。もう一人は同棲相手から顔の形が変わってしまうほどの暴力を受け、生まれた子供を孤児院に預けて働いているそうだ。
今でも散歩の途中に、嘗てのDちゃんの家の前を通ると何となく薄気味悪い。きっと何も知らない人が現在住んでいるのであろう。