日本人観光団

TVをつけたまま仕事をしていると、「困り果てている日本からの観光団です」というナレーションが聞こえてきたので思わず画面を見ると、60〜70代とおぼしき日本人観光団の男女が、困り果てた表情で砂利道の地べたに座り込んでいる。
格好はもう日本人観光客としてはお馴染みの帽子、斜め掛けのカバン、ウエストポーチ、ウォーキングシューズのいつもの(観光中の)見慣れたスタイルだ。さらに女性に見られる、大きめで色の入ったメガネや高性能のデジカメやビデオを所持しているのも特徴かな?
さて、その画面の中では、くたびれ果ててどうしようもない、という表情の面々。
道路なのか川なのか分からないような所に、それもまあボロボロのバスが立ち往生している。
そのバスから日本人たちは降ろされたわけだ。
ちょっと気の強そうな女性が独り言のように「まったくもう!いやんなっちゃうわ!」
いやんなっちゃうわ!ってあなた、あなたのいるその場所はどこですか?
なんとそこはパキスタンの秘境なのである。
道路もろくに無く、あんな所に現地係員などいるはずもなく、恐らく日本に出稼ぎにでも行ったことがあるのだろう、やっと日本語片言の現地人が対応している。
ナレーター曰く、そこは治安も大変悪く、テロリストも多く潜伏している場所としても有名なんだそうな。
若く、いつ何時でもスルッ逃げられるカモシカのようなバネの利く足を持っている旅行者だったら「まあそれも経験でしょう」だけど、あんなお年で、あんな危ない場所へ行くとは、呆れて言葉が出ない。
そしてブウブウと後になって旅行会社を攻撃するんだよね、きっと。
あの団体全員一致団結してね。
日本人は団結すると強くなる人って結構いるから。
一人だと子羊だけど、団結するとまさしく手に負えない怪獣と化す場合が多いらしい。
旅行者一人一人に責任がある、なんて毛頭!思っていない。
「ご自分の意思により・・・」という契約書にちゃ〜んとサインしているのなんかきれいさっぱり忘れている。