言葉

こうして連日溢れるばかりの日本語に触れていると、自分がいかに日本語から遠ざかっていたのかが分かる。
非常に単純な初歩的なことなのだが、助詞の使い方に迷うことがある。
漢字も今や簡単に変換できるにもかかわらず、傍らにはいつも国語辞典と漢和辞典を置いている。
電子辞書もあるが、バッテリーが切れてしまっては何の役にも立たない。
他に日常必ず身近に置いてあるのが英和・和英と仏和・和仏の4冊。
インターネットでも充分調べられるが、学生時代の延長みたいにやっぱり使い慣れた辞書が一番馴染む。


読み書きが出来ても話せなければとよく外国語習得の際に言われるが、やっぱり読み書きが基本と私は思う。
ただ音だけ聞き取って会話が成り立つというのはもちろん可能だが、・・・・ただそれだけである。
日本の人はなぜあんなにも英会話!英会話!と騒ぐのか?
ビジネス上は別として、そんなに外国人と話してどうなることでもあるまい。
相手が相当な知識人でない限り、欠伸が出るほど退屈ですよ、日本人と違って。
通常だったら中学校レベルの英語で充分である。
聞き取れない? それは相手の英語が悪いのだ。
仲間内で話すようなブロークンや訛りで話されたのでは、聞き取れなくて当たり前である。
仲間内でさえ通じていないこともあるほどだ。
欧米人の大半が、相手は外国人だから一語一語はっきりと解り易いように、難しい単語などはなるべく避けて話してあげよう、などという気持ちは残念ながら持ち合わせていない。
その辺の駅のホームや道端などで見知らぬ外国人に話しかけ、通じたからといって小躍りして一体何になるんだろう。
ま、それでその日一日が楽しくなるのであればそれはそれで結構な話だが。


以前ケベック人男性が自分の学歴を偽り、名古屋駅前の大手の英語スクールで講師を勤めていたという話を聞き、こちらではそれが結構大きなニュースになっていて、彼は笑いの種のヒーローであった。
中学校も満足に卒業しておらず、散々日本人女性を食いものにした挙句がこれだ。
ケベック州3大大学のひとつの、それも教育学部卒業と偽っていたらしい。
しかしすごい勇気だよね!
だって頭のいい日本人たちを騙そうとしたわけだから。
それも中学1、2年程度の頭でねえ。
これぞケベック人の恥であろう。彼はもうケベックには住めない。
噂によると彼は日本人女性と結婚して他州に暮らしているらしい。
子供もいるとかいないとか? いたら尚更、悲惨であろう。
その日本人女性は、彼が詐欺師だと分かって結婚したのだろうか?
彼女の親御さんやお身内は彼の醜態を知っておいでなのか?
本当にお気の毒である。


言葉なんていうのは、必要に迫られれば誰でも話せるようになる。
私も仕事上、当然フランス語を使う。
よく日本の皆さんから「フランス語ですか、ほうーっ!」と感動されるが、こんなのちっとも大した事ではないのだ。
ケベック州に住んでいれば、フランス語、英語を同時に話せるようにもなる。
土地柄当たり前のことなのだ。
プラス母国語で合計3ヶ国語を使うわけだが、ちっとも「ほうーっ!」ではないのである。