霊的読書

高橋たか子の描くParisが私は好きだ。

装いせよ、わが魂よ (1982年)

装いせよ、わが魂よ (1982年)

強烈なストイックワールドだ。
20代の私が過ごしたParisとはまったく視点が違った世界で、最初に読んだ時には、打ちのめされるほどショックだった。こんなParisもあるんだ、と。



これはもう、まさしくカトリックでいう「霊的読書」にぴったりな内容だと思う。

土地の力

土地の力

学生時代に耽美派文学ばかり読み耽っていた私には、この霊的読書という意味がよく分からなかった。いや、耽美派のものでも霊的読書は可能だろうけどね。
授業中にシスターが、白魚のような手で黒板にチョークで「霊的読書とは」とか書いたりすると、途端に眠気が襲って来たものだ。そんな私に、本当の霊的読書について教えてくれたのがこの高橋たか子の作品だったわけで。目で読むのではなくて、心で読むという感じ?ですかね。