緑の世界

毎年、今頃になると、わが家も鬱蒼として来る。
湖がもっと全体的によく見えるように、木をどんどん切ったらいいのに、というお節介なことを言ってくれるケベック人がたまにいる。木の国であるカナダでも、あまり木を大切にしない、すぐに木を切り倒したがるカナダ人も少なくない。わが家みたいな土地から根こそぎ木々を取り払い、ダダーッと一面芝生にしてしまう家もある。確かに見晴らしも良くなるし、蚊も少なくなるだろうし、土地を有効に使うことも可能だろう。でもね・・・

夕方になると、この鬱蒼とした木々からなんとも言えない心地よいフィトンチッドが漂って来たり、この世のものとは思えないような透明な鳴き声の鳥が飛んで来たり、鬱蒼としているからこその利点も多いし、今の地球を考えると木の1本でも大事にしたいところだ。

隣との境目だけが、なんとなく薄い感じで、隣の庭がちょっとだけ見えてしまう。

以前のお隣さんは、とても木を大事にする人たちで、お互いに土地の境目などには近寄らなかったけど、その次にやって来た隣人はすごい変人で、それもどういうわけか土地の境目の木ばかりを切りたがるので、一度だけ大喧嘩になったことがある。うちとの境目が駄目だと分かると変人は今度は反対側の境目に手を入れた。すると今度はそっちの隣の人、フランス人なんだけど、その人たちとも物凄い大声を張り上げての大喧嘩になっていた。あんなに木を切りたいのなら、木を邪魔に思うのだったら、街に住めばよいのだ。変人は、今は大人しい。しかし、油断は出来ない。
死んでしまった木は、ちょっとみっともないけど、切り倒すのも大変なので、そのままにしておくと、自然に、嵐なんかが来た翌日には途中からポッキリ折れていたりする。

このくらい高いと落雷の可能性もあるから危険なんだけどね。
この緑の世界も、9月になると紅葉して散り始めてしまうから、本当に短い期間だけのものだ。

夕方は、ベランダに出て、フィトンチッドを身体いっぱいに吸い込むのも、今の時期だけの楽しみである。
真夏になると、蛍が木々の間で光って、それこそ夢のような世界だ。
赤っぽい光が入ってしまってあまりきれいに撮れなかったけど、もしよかったら動画もご覧下さい。

ブーンという音は、彼方此方の家からの草刈機の音です。