今も

今から10年以上前の出来事を友人に書き送っている私を見て、娘が何を一生懸命やってるの?と訊いて来た。
娘がまだお腹の中にいた頃の出来事だ。
とても12歳の彼女には話せない内容なのだが、自分の母親を愛しながらこの世を去った男性*1がいたという話をした。
「どうして死んだの?」
「癌だったの、肺の」
「彼が死んだ時、ママンは彼の傍にいたの?」
「一緒にいたよ」
「最後にママンに何て言ったの?」
「愛してる、ずっと愛してるって」
「ずっと?・・・ずっと、って?」
「死んでもっていう意味」
「死んでも愛せるの?」
「たぶんね」
ここまでしか、まだ娘は理解出来ない。
娘に話している時に、棚から突然ものが落ちて来て、電気がひとりでに消えた。
娘が怖がったので、この話はここまでにした。
いつの日かすべてを彼女に話す時が来るだろう。

*1:2008-02-20「Les B.B - Tu ne sauras jamais」参照。