近況

ノンノン人形はすっかり娘にお株を取られてしまった。
どうしてもカットはイヤだと泣き出したので、已む無くキャンセル。
私だけカットすることになった。
イザベルにとっては初めて見るスキンヘッドのオジサン、彼から何を訊かれても「ノン、ノン」ばかり。
昔の私たちを知らないスタッフたちがこの再会を驚いていた。
昔の写真を見て若いスタッフたちが「髪の毛がいっぱいある〜!」と大騒ぎ。
「今はつるっ禿げだし〜!」って・・・あのね、キミたちだっていつの日か歳を取るんだゼィ。
彼は今パリとアヴィニヨンを行ったり来たりしている。経営している学校が複数あってそれの研修のために。
カットはこれから。前髪がどうしても邪魔なので、ホテルのフロントから勝手にハサミを借りて来て自分でカットしたら豪く怒られてしまった。
父の認知症はパリに来て益々ひどくなっている。
連日それとの戦いでくたびれ切ってしまう。
ふっと目を離した隙に一人でパリの街へ出かけて行ってしまう。先日は2時間も帰って来なくて警察に通報しようと思ったくらいだ。一緒に連れ出すとわざと私たちを困らせたいのか「トイレ、トイレ」を連発。パリって各所にトイレが無いでしょ?本人は至って元気だけど、回りの私たちが散々振り回されてすっかり疲れ切ってしまう。
パリ、確かにステキな街だ。でも弱者のためには考えられていないのが本当に残念であった。
車椅子やお年寄り、赤ん坊や子供といった世の中の弱者を全く無視した街だ。目や耳の不自由な人に容赦無くクラクションが鳴らされる。そのあまりの酷さに私は何度か大声でクラクションの主を怒鳴りつけたこともあった。だってケベックではこんな人権無視する行為は絶対に考えられないから。主は大概フランス語もよく解せない移民だったが、私に怒鳴られると両手を広げて仕方が無いという表現をする。アラブ系、アフリカ系、中国系、東欧系・・・どうしてあんなに移民をフランスは受け入れてしまったのか?