国際結婚

時々日本で生活したいなあって思うことがある。
国際結婚している場合、女性の国で暮らした方が理想的、というのを何かで読んだことがある。私もしばらくの間、夫と日本で暮らした期間はほんとに楽しい思い出ばかりだ。
外国姓だと、いろんなところで珍しさも手伝ってか、大概親切にして頂いた。
夫は買い物が大好きでよく一人であちこち車で走るのが楽しみだった。だから、よく一緒に買い物に行くと至る所に夫を良く知る人たちがいてビックリだった。
「クロードさん」なんて夫の名前をみんな知っていて、夫も日本語が達者だったので、すぐに皆さんと仲良くなったらしい。私のことまで「クロードさんの奥さん」と呼んで下さって良くして頂いた。
近所のスーパー『クラウン』のベーカリーにフランス人シェフが2人いて、主人とフランス語でお喋りするのを唯一の楽しみとしていた。駐車場のところで、シェフの恰好をしたお2人と夫の3人でよく立ち話する姿を今でも鮮明に憶えている。
茅ヶ崎に住んでいたので、買い物はよく藤沢、茅ヶ崎、平塚と回ったが、時には鎌倉や葉山まで足を伸ばした。
夜や週末などには夫は自宅でご近所の皆さんに、パイ生地やパンの焼き方を教えたり、これも近所にあった鉄鋼や陶器関係の大手会社の社宅の皆さんに英会話を教えていたりした。
 
パイ生地にしてもパンにしても、これは夫の母から伝授されたもので、特にパンは、昔ながらのパン焼きかまど時代から伝わる焼き方だ。それがまるで魔法のようにあっという間に何本も焼いてしまう。私の担当?あ、助手ですよ、助手。
 
パイ生地は夫はフォーク1本で作ってしまう。それが日本の主婦の皆さん(旦那さんたちも混ざっていた)には驚嘆だったらしい。パイの仕上がりは、サクッとしていて、全然油っぽくなくてとても食べやすい。
 
その頃私は教員をしていたので、父兄の皆さんもよく夫から習いにやって来た。くっ付いて来た生徒たちは、うちの息子(まだ一人っ子だった)と一緒に近くの湘南海岸に遊びに行ったりして、ほんとに楽しいひと時だった。
夫が退職したら、日本で暮らそうかと時々話し合っている。
老いた両親の近くにもいてあげられるし。