人間らしさ

わが息子は現在、弁護士インターンだが、彼が一番に望んでいるのが、弁護料を払えない層を助ける弁護士だ。
これは弁護士には一番人気の無い職場だ。
息子はこの修行を今行なっている。
裁判所に通い、先輩弁護士に同行して、貧困層の犯罪人たちの援助活動をしている。
この仕事をするようになってから息子は全く変わってしまった。
15、6歳で麻薬に手を染め、殺人もしくは殺人未遂を犯し、というケース3例を先日も勉強してきた。
犯罪人となった子供に面会にくる親たちはその場で泣き叫ぶそうだ。
どの子供もその姿を見て泣かない子供はいないらしい。
引き取りに来る親がいればいいが、その親がいないケースも多いらしい。
息子曰く「誰のことも攻める事は出来ない」
いちいちあれが悪いだの、アイツのせいだなどと言っていたら
裁判は成り立たないそうだ。判決が出せなくなる。
非常に冷静だ。当然、冷静でなければ弁護士にはなれない。
でも人間性のない弁護士や裁判官も大勢いるそうだ。
「俺は人間らしい弁護士になりたいな」が、息子のいつもの口癖だ。
冷たい人間だけにはなってほしくないし、自分もなりたくない。