髪を切るといえば、パリに住む長男は、パリ郊外のモロッコ人経営の床屋さんと馴染みで、いつも7ユーロでカットしてもらっている。
短けりゃいいという息子には、まったく流行など通用しない。折角パリに住んでいるのに、実に勿体無いのである。
パリは、世界の流行発信地。
服だけじゃなく髪型もそう。
パリコレやカンヌ映画祭、シャネルなど一流ブランドの撮影などに携わる美容師がパリには数多くいる。
微妙なニュアンスの流行を取り入れた髪型を、しかもその髪型を作ったヘアデザイナー本人によって作ってもらうことも可能な街パリ。
パリコレで活躍する美容師さんを選べる、そんなことが可能なパリでの生活を謳歌したいものだ。
私は、22歳の時に、パリを代表する7つの美容院を取材するという仕事に携わり、その時に出会ったヘアデザイナー氏とは、もうかなり長いお付き合いになる。
なにしろケベックとパリでお互い遠く離れているので、なかなか好きなだけ通えないが、パリにいる時は、必ずカットやヘアダイを彼にやってもらう。
シャンプーや髪を染める作業は、彼の直弟子が担当するが、そんな時も彼はずっと私の傍に付きっきりでいてくれる。ヘアダイの際には、どの色とどの色を使うかなど、細かい指示を弟子に伝えて、出来上がりを私の傍に付いて絶えずチェック、指示出しをする。彼の愛弟子の中には、日本のTVのCMにも登場したのが何人かいるようだ。
これは、昔からの彼との決まり事で、ブローだけじゃなく、ただ単に髪を乾かす時にも全部彼が担当する。で、私はいつも気持ちが良くなってそこで寝てしまうのが常。シャンプーもとても気持ちがいいので、もう最初から寝ている時もある。シャンプーの時は、丁度私の横に来て此方を見下ろしている彼の顔を見上げながらお喋りして過ごす。
途中でコーヒーを淹れてもらったり、お腹が空くと軽食を他の店から出前してもらうことも出来る。
場所はモンテーニュ通り界隈。あの通りには、カナダ大使館もあるので、ついでに立ち寄ったりも出来る便利なところ。パリの中では、一番好きな場所の一つだ。
