Lでの出来事

電車のストライキや、またまた怪しげなものが各線やメトロ車中からも見付かったらしく、各所で規制が生じ、移動がなかなか大変らしい。
そんな中、サンジェルマン・デ・プレに行ったついでに息子がふと思いついて「L」*1に行ってみたそうだ。クリスマス限定だけの販売らしく、なかなか探していたものが入荷されず、店員から「×日に入ります」と言われて、その日に行っても入荷されておらず、行く前に電話をしてからと思ったが、丁度歩いていたら目の前に「L」があったので入ってみたらしい。
客は殆どがフランス人で、たかだかちっちゃなマカロンを数個買うだけで、ああでもないこうでもないと迷い、後ろに列が続いているというのに、客と店員の無駄話が延々と(ケベック同様だね)。しかも揃いも揃ってボーッとしたのしかおらず、20分も待たされたと息子は腹を立てていた。
さてやっと息子の番になって「××を下さい」と言ったところ、店員が「???」の表情で「何のことでしょうか?」 その状況をウェブカムで説明して聞かせてくれる息子は「ま、いつものことだけどさ」と。 その店員に「この店のパンフレットがありますか?」と訊いたところ奥から持って来て息子に差し出したそうなので、「あ、僕はそれを持っているので。そのパンフレットはあなたのためです」と言うと、その店員は益々訳が分からなくなっていたらしい。「では、そのパンフレットの×ページを開いて下さい」と店員に向かって言うと「そのページの一番下に何と書いてありますか?」と息子。「しかじかこれこれ」とその商品名を店員が読み上げ、「そう、僕が欲しいのはそれなんですけど」と言うと、店員は他の2人に訊き、それでも誰も分からず、やっとそこに呼び出された店長が、奥から恭しく運んで来たそうである。
「その店のHPとか見てないのかね、その店員たちって」と私。「あり得ねえ」と息子。「フランスの義務教育って何年なの?」と突然私。「10年かな、確か」「え!?日本より多いじゃん」 ここで義務教育を語ってもどうしようもないんだけど、なんかこう一般教養とか一般常識とか商品知識とかいう言葉が頭に浮かんで来た。日本でこんな店員だったら「勉強しろ!」とか罵倒浴びそう。
「でもさ、その商品があっただけでも凄いよ、うん、ほんとに」と息子。日本では既に販売されている?そうだが、フランスでの販売スタートが豪く遅れていたらしい。フランス語の説明文を読むと、なんでも縁起ものらしく、プレゼントにしたら喜ばれそうだ。
日本人店員さんのいる「L」に行った方がいいかも、と息子は言っていた。懐かしくて日本語で話そうとして、つい最初にフランス語が出たのでずっとフランス語で話してしまったと息子。そう、途中で言葉を切り替えるってすごく恥ずかしいんですよ、どういうわけか。
はてさて、商品知識などの常識が通じないフランス事情、らしい。ケベックも同じフランス系なので、似通った面は多いが、そこまで酷いのはさすがにケベックでもあまりお目に掛からないけどね。ケベックで呆れ返るとしたら、夏休みの学生バイトさんたちぐらいかな?訳も分からずにホテルのフロントなんかで踏ん反り返っていたりするのが結構いて、毎夏、仕事の際に苦労させられるのである。
いずれにせよ、日本ではあまり経験の無いことだが。日本のサービス業界では、お客に対して「分かりません」なんて発言はご法度だからね。

*1:日本にも最近上陸した菓子店