この花を見るといつも昔のことを思い出す。
遠い昔。
フランスに短い間住んでいた時。
香水の街グラースにて、このpivoinesの香水を友達が買ってくれた。
カンヌからグラースまでよく私たちはドライブした。
pivoinesにこんな強い香りがあることを、それまで私は知らなかった。
小さな香水工場の、しんと静まり返った部屋にそれは置いてあった。
丸いガラスの瓶に入って、調香師の机の上に置いてあった。
友達は調香師としばらく立ち話をして、それからその香水を私につけてくれた。
昔に、同じ昔に戻るのは無理だけど、
でも、昔を想い出して再現することは出来ると彼は言った。
だから戻ろうと彼は言った。
戻ってから、また、そこから、新しい世界を作ろうと言った。
pivoinesの昔に戻ろうと言った。
カンヌでの生活がフラッシュバックした。
夢の中でだけ戻れると私はずっと信じていた。
いつも傍に花があって、祝福の太陽があって、潮風のkissがあって。
pivoinesの中で静かに目を覚まして、
身体中pivoinesの香りで、
pivoinesの花びらが一枚、白いシーツの上に眠っていた。
あの時間がずっと続いていたのだろうか。
pivoinesの奇跡を信じよう。