イギリス上空の耳物語

アイルランドと言えば、先日も上空から眺めた国だ。いつもダブリン上空辺りの航路らしい。
ケベックを出発すると、カナダを出るのにだいたい2時間、大西洋を渡るのに3時間、その後まもなくアイルランド上空に達する。アイルランドからパリまでが約1時間。するともうその辺りからなんとなく下降が始まる。いや、パイロットにとっては「なんとなく」なんていう甘い感覚ではないだろうけど、最近の下降の仕方って以前とだいぶ違うと思いませんか?目的地がまだまだ遥か彼方って頃からなだらかな下降線を描くみたいな降り方だし、着陸時のあのドッカ〜〜ン!という衝撃的な逆噴射もあまり聞こえないんだけど。こんな風に感じるのも、私がいつも小さい飛行機に乗っているせいだろうか?もっと大きな飛行機は違うのかもしれないね。
下降が始まると「え?もう着くの?早っ!」って感じだ。ケベックとパリの近さを実感する瞬間だ。そのうち、下界にはイギリスが見えて来る。大概まだ辺りは暗い頃のイギリスなので、ロンドンの見事なイルミネーションが見られる。それ以前にもイギリスに入ると遠くに広がる大きな街はバーミンガム辺りなのだろうか。ロンドン上空辺りではもう飛行機はだいぶ下降して来ている。
ドーバー海峡をあっという間に一跨ぎ、フランスに入ると今度は、私の場合、耳の激痛との闘いが始まる。耳栓をしても足りないので、両方の耳に指を突っ込む他無いのである。この症状が始まったのは、左耳が聞こえなくなってからだ。ドーバー海峡からパリまでが10分。パリの街がすぐ足の下に見えて来る頃に耳の激痛が止まる。このタイミングを覚えたので、あまり苦痛では無くなった。