北欧のクリスマス

私にとってクリスマスというと、どういうわけか北欧なのである。
一度デンマークに行ったことがあるが、今度はぜひともフィンランドへ行ってみたい。
私の幼なじみR子ちゃんがフィンランドに15年以上住んでいて、今は日本に帰っているとかで、先日茅ケ崎の実家に電話をよこしたそうだ。
彼女の父上は医者だった。
よく往診の度に父上にくっついてやって来て、うちで遊んでいったものだ。
時々彼女の兄上も同行、うちの2段ベッドででんぐり返しなんかやっていた彼は現在心臓外科の医者だ。
彼女R子ちゃんの両親はもうすでに他界されている。
幼い頃よく彼女の家に遊びに行ったのだが、今でも忘れられないのがR子ちゃん専用のピアノ室だ。
通常のピアノよりも、子供用なのか少し小さめの可愛らしいピアノが置いてあり、その横に演奏する時に履く靴が置いてあった。靴というよりスリッパのような。ぎっしりとビーズの刺繍のしてある、中国風の赤いスリッパだった。
その部屋に時々ピアノの個人教師が来ていた。
20代の頃、R子ちゃんが仕事でフィンランドへ行ったことを耳にした。
私にはその頃、会社からノルウェー転勤の話が出ていた。
ストックホルムヤマハに勤務していたスウェーデン人のボーイフレンドもいた。
あの時ポーンと北欧へ行っていたら、私の人生はまた今とは大きく違っていただろう。
そんなわけで時々北欧に思いを馳せる。
例えば、クリスマスの飾り付けにしても、樅の木に白いキャンドル、それも電気ではなく火を灯す本格的な、まるで「マッチ売りの少女」の絵本で見たようなクリスマスツリーだ。
シンプルで質素、もうこれは私の最高の理想なのだ。
でも質素とはいえ、家具やキャンドル、食器などにしても、しっかりした素材のものばかりだ。
R子ちゃんはフィンランドに自分の家がある。いずれはまたフィンランドへ帰るそうだ。
ケベックからフィンランドは近いので、行ったり来たり出来るねと彼女が言っていた。
そしたらぜひとも冬の、クリスマスのフィンランドへ家族で行ってみよう。
またこれは北欧だけではなく、フランスやドイツでも飲まれるのだが、ホットワインにシナモンなどの香辛料を入れ、レモンスライスを入れて飲むと、とても身体が温まる。以前パリの街でこれに出会い、私の大好きな映画『シベールの日曜日』でも出てきた飲み物であるのに気づき、すこぶる感動した憶えがある。
モントリオール近くにIKEAがある。クリスマス前には買物に行ってみようと思っている。