邪道と忍耐

ケベックでの和食、特に寿司の世界が狂い始めている。
日本人オーナーさんのレストランを除いて、の話だが。
だから、パリ発「似非ジャポ」云々なんていうのは、ケベック在住の私にとっては、実に贅沢な悩み∧問題なんであるよ。フランス在住の友人たち(日本人)が、真(まこと)の和食を求めて奔走する姿をよく目にするのだが、ケベックでの忍耐に尽きる下積み生活?の長い我々にとっては、美味しくて親切で安ければもう何でもよし!なのである。
よくテイクアウトするSushi・Sも、寿司自体はまあまあなんだけど、もれなく付いて来る醤油がなんと甘いのだよよよよ。いくらメープルシロップの本場とは言え、醤油まで甘くすることも無かろう。セロリと天かすの海苔巻きを甘い醤油で食べた時は心から泣いたね。
ではここで、その「邪道にも程がある」ケベックの和食メニューをご覧下さい。

Sushi Pizza


使われている材料は、マグロ、サーモン、ご飯を固めて天ぷらにしたもの、チーズ、オニオン、クランベリー・・・ね?材料を聞いただけで、如何におぞましいかお分かりでしょう?
この左側に乗っかっているのは何のフルーツかいな?

Capuchon saumon


マグロのタルタル(たたき状)、スモークサーモン、ピスタチオ(何故にナッツ?)、山羊のチーズ(臭そう)を揚げたもの。
もうこうなって来ると和食じゃないよね。
よく海苔巻きをフライにするのもケベック流? 折角低カロリーの寿司を揚げてしまったら台無しだろうに。

Thon en croute de chocolat noir


マグロとチョコレート・・・写真見ただけで吐きそうになった也。

To-Fou


生姜の豆腐(ケベックには不思議な豆腐がいっぱい)に、アボカド、ニンジン、りんご、大根(なますの組み合わせか?)、そして何かのピューレ?ケベックでのconfitというのは、フランスのとは違って、主にピューレみたいのを言うんだけど、これって何のピューレなんだろうか。こんなものを全部混ぜて食べてみたらどんな世界が広がるのだろうか。
このメニューのネーミングがいいね。fouというのは、「狂った」とか「馬鹿な」とかの意味だから・・・
いろんな不思議なネーミング・オヴ・スシが他のもたくさんある。「芸者」や「神風」などの定番以外にも、「さゆり」「宮城」「アジアの風(直訳)」「痩せた人生(直訳)」「ピーターパン」「しょっぱいミルフィーユ(直訳)」「ミスターJ」「仏陀」「巨大なタコ(直訳)」「包丁」・・・他にも「ミヤジ」「カワムラ」など苗字っぽいものもある。入店してメニューを見ただけでもう大爆笑だわね。

Magicien d'Oz


見た目は普通の海苔巻きに見えるが、このネーミング『オズの魔法使い』から厭な予感が。
マスのタルタル、きゅうり、アボカド、天ぷら(これは天かすのことなの、ケベックでは)、マンゴー、蜂蜜(おいおい)・・・こうして、天かすのぎっしり入った巻ものは多く、これではカロリーも何もあったもんじゃぁないか。
最近、ケベックの寿司業界では、【デザート寿司】というのが人気で、チョコレートや蜂蜜、マンゴーやアンズ、りんご、みかん、桃などを使う。クリスピーや色とりどりのグミなんかを使って遊ぶのとはまたわけが違うようだ。全くのデザートとして、ホワイトチョコレートやフルーツペースト、バニラレモンクリームなどを使うお菓子仕立ては例外なので悪しからず。

Mojito


先ず、ネーミングの意味が分からない。
ホタテ貝のマリネ、サルサソース(げげっ)、ミント(気絶)、ライチー(どうして?)、しそ(ケベックではとっても貴重なもの。ケベック人に食べさせるのは正直勿体無い)、レモンの皮・・・書いていて気持ちが悪くなって来た。
他にも、アーモンドをトッピングしたものもある。まるでケーキだな。

Harajuku


メープルシロップ味のサーモン(勘弁)、アボカド、焼きピーマン(怒るよ)、天かす、ピスタチオ、カレーソース(助けてくれ)・・・それでどうして「原宿」?

Non-Traditional Sushi

こ、これは、哀しい。
つまり白米を使わない寿司ってことです。
玄米を使ったり、思いっきりご飯を使わない寿司のことさ。

私は玄米が嫌いだ。食べると必ず消化不良を引き起こす。
うちの長生きばあちゃんは玄米など食べず、ずっと銀飯ライフを謳歌してるぜ、いえぃ。

食べてるうちに泣き出しそうだ、私だったら。

哀しみの有料

ご飯や醤油、わさび、ガリの追加料金がチャージされる。
ご飯茶碗一杯で約300円。

醤油、わさび、ガリが、35円〜150円ぐらい。
このご飯の盛り付け方、日本人離れしてて面白いでしょ? 使えそう(笑
Parisで寿司のテイクアウトをすると必ず付いて来る弁当箱一つ分のご飯が、我々には感動ものだったけどね。15区辺りに林立する寿司&焼き鳥の店がわが家のご用達だ。

漢字の勉強


漢字入りチョコレート。日本では先ずヒットしない代物だろうね。

私を食べて

メニュー表に載っている国籍不明な女性も怖い。

「私を生のまま食べて」という呼び掛けも、このラリ目に髪型、それにこの着物では怖過ぎる。
フランス語の「私を食べて」というのは、恋愛上よく使う表現だけどね、確かに。

餓死寸前

この写真も怖いでしょ?餓死寸前の女性が、寿司食べてるみたいで。

目立ち過ぎ


ケベックナンバーでこんな車が走っているらしい。


寿司を愛するのはいいんだけど、本来の寿司文化などはどこかに吹っ飛んじゃってるのが、私にとっては違和感・不快感いっぱ〜い!なんですよ。