怒りの朝

今日のケベック、最高気温は17℃。
8月に入ったばかりだというのに・・・
夜は暖房を入れることもある。
このまま秋になってしまうのかと思うと、途端に哀しいのであります。


今朝は4時起きの仕事だった。
お客さんを空港へ見送ってから外に出ると、土砂降りの雨と、冷たい風がピープー吹いていた。
こんな日に観光じゃなくてほんとによかった。
今朝はだいぶ気管支炎が酷くて、仕事中もかなりつらかった。
声も潰れ気味なのであります。


しかも今朝は恐怖のノースウェストだ。
今春から私が担当したものだけでも、もうすでに2度も欠航になっている。その理由も、天候や機材云々だったら仕方の無いことだけど、なんとパイロットが病気だというのだ。病気・・・って、代行出来る他のパイロットはいないのだろうか?この場合、それも最悪の場合、お客さんは延泊しなければならない。
緊張して空港に到着。もちろんこんな心の内をお客さんに伝えてはいけない。お客さんに背中を向ける度に笑顔が消える。カウンターに並ぶ列は、なんと隣のコンチネンタルとごちゃ混ぜになっている。相変わらず杜撰な展開だ。でも、なんとか無事飛んでいそうな雰囲気に一先ずホッとする。
グランドホステスは、ケベックのネエチャン二匹、早朝から真っ黒にアイラインを引いて、ガムまでクチャクチャしている。入国カードも、こちらから言わないとくれない。あのさ、ネエチャン、入国カードが無いと、ケベックの税関通して貰えないんだよね、そんなことも知らないのか?と心の中で嘲笑しまくった。お客さんを目の前にしての喧嘩は避けたい。入国カードって、米国の場合、日本語版って普通あるよね。それが、ネエチャンは「そんなの無い」「米国は英語だけだ」と意味不明な発言をした。米国は英語だけってどういう意味よ。公用語を訊いてるんじゃないっしょ。てか、ネエチャンは日本語のカードがどれだか判別出来ないんだろうね、たぶん。
呆れ果てたのであります。


こんな風な仕事上の衝突やトラブル、不満などは数限り無い。しかし、以前にある賢い添乗員さんから教わったことをいつも心の中で繰り返しては実行するようにしている。つまり、とにかくツアーが何事もなく、何の滞りもなく、お客さんも無事に、全工程が終了すればそれでよしとするということなのだ。各所のスタッフの態度が気に入らない、人種差別かも、なんでもっと親切な対応が出来ないのか、コイツは単なる馬鹿なのか、などなどいろんな思惑が頭の中を駆け巡って怒り爆発ってこともあるんだけど、そんな時は、そんなどこの馬の骨か分からない人たちの人格形成などどうでもいいってことらしい。「指摘する」ということは、その人の人格をある意味訂正・修正してあげるということでもあるから、そんなことをタダで骨身を削ってやってやる必要も無く、とにかくツアーが無事遂行されればそれでいい、それ以上のことは望まないということなのだ。「そういう風に自分で考えを切り替えるようになってからだいぶ楽になりました」とその添乗員さんは言っておられた。ツアーを遂行する上で、何かトラブルが生じたとしても、とにかく1ミリでも前進すればそれでいい、ひたする前進するのみ!をモットーに頑張りましょうと、その添乗員さんは私を励まして下さった。
仕事を通じて学ぶものは多いのであります。