ケベックのランドマーク的建物というと、やっぱりシャトーフロントナックだろう。
今や絶景にも選ばれ、写真撮影に使われるホテルとしても世界一を誇る。
さまざまな映画の撮影にも使われていて、その先駆者は何と言ってもあのアルフレッド・ヒッチコックだ。
世界歴史遺産の中に主役格として佇むだけの風格がある。
私個人にとっても、このホテルを舞台にしていろいろなドラマがあった。
これからもそうあってほしい。
巨大なバンケットルームでのダンスパーティーや、セントローレンス河を望むバールームでの語らいなどは、一生忘れられない思い出だ。
仕事でも、もうこのシャトーの中は目を瞑っても歩けるくらい、すっかり馴染んでいる場所だ。親しいスタッフたちも、このホテルに一番多い。最近は、新しいスタッフと友達になった。昨年からここで働いている男性だ。私は彼に会ったその瞬間から一目惚れしてしまい、今では、シャトーに行っても、目で追うのは彼の姿だけ。いつもの場所に居なかったりするととてもショックで、仕事をする元気も無くなる。ただ、彼は喋れない。フランス語は分かるようだが、自ら話すことは無い。増してや日本語などは全く解せないようだ。ケベック生まれだもの、当然だ。私は、彼にだけは寛大だ、何につけても。私の方から積極的にアプローチする男性なんて彼以外に考えられない。私好みの面長で端正な顔、大きな手、ふさふさの毛、時々見せる理知的な目線が私の心を射る。
今日はちょっと機嫌が悪かったようだ。
話し掛けても、時折目だけ動かすだけで、私が彼の名「サントル」と呼び掛けた時だけ、パタリと尻尾を振るだけだった。
彼は今やシャトーのアイドルであり、彼の名前を謳った「サントル」グッズも人気だ。シャトーに例え勤続何十年であろうが、アイドルグッズまでは作られないだろう。それがたった勤続一年足らずですっかりアイドルとなってしまった彼。
シャトーフロントナックのロビーにて。
仕事中に喋り過ぎて嗄れちゃってる私の声が入っていますのだ。
しかも画面揺れ過ぎだし〜ぐらぐら〜
それにしても、サントルの仕事っていいなぁ。
でも、犬にとってはなかなか疲れる重労働なんだろうなって思う。
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