暦と方角

私の104歳のばあ様は、とにかく暦と方角に従順に従う人だった(である←過去形にしちゃいけないな)。
どこかの家で新築や改築などをすると、必ず方角などが書かれた本を見ながら良いだの悪いだのと気にしていた。
驚いたのは我が家の写真、それも庭の写真を見たばあ様が「なんだ!この大きな岩は!これはとても大事な方角にあるのに、ナルはこんなに粗末にして!」と激怒。うちの土地の片隅に埋まっている巨大な岩が非常に気になったそうで、ばあ様がこう言ってるよと日本の身内らがみんなして言って来たのだ。その岩の上に、もう花の終わった植木鉢を幾つか置いていたのである。その岩を清めるように、そして何も上に置かないようにいつもきれいにしておくようにと、ばあ様から忠告を受けたのである。それからというもの、意味不可解な問題が次々と解消されていったのだ。ばあ様から何度も忠告されても言う事を聞かずに改築した家では、そこの家のご主人が間もなく病気で亡くなったりもした。昔の人が良くないと言ったものは真偽のほどはともかくとして、とにかく言うことは聞いておいたほうが良いというのが彼女の考えであった。
「暦や方角にこだわる」生き方というのも、もしかしたら長生きの秘訣かもよ。