娘の通っていた保育所の保母さんが完全な二重人格だった。
一時期はもう一つの人格が長い間彼女を占領しており、その時に撮った写真などまるで別人である。
普段は笑ったような目をした、とても穏やかで声の調子もやさしく、女らしい人なのだが、もう一つの人格が現れると、目はぱっちりと大きく見開かれ、言葉使いもちょっと乱暴なはっきりした口調で、さばさばとした男みたいな性格に変わる。途端に愛嬌もなくなり、つっけんどんな態度になる。
彼女は結婚して子供も２人いるが、治療のため通院していた。その成果があったようで、そのもう一つの人格というのがだいぶ姿を潜めるようになっていた。それでも時々は現れるようで、彼女がこちらに背を向けている時に話し掛けたりしてクルッと振り向いたりすると、もう一つの人格になっていたりする時もあって、それがとても怖い。
今でも彼女のもう一つの人格になっている時の写真を持っているが、別な人格というよりも、別な人という感じで、見れば見るほど不気味なのである。
