棚ぼた育児

サトさんのことからふと自分の時のことを思い出した。
長男は日本で、次男と長女はケベックで出産したので、各地の思い出が其々にあって楽しい。


長男は辻堂海岸にある家族経営の病院で生まれた。
週末は奥様(女医先生)が食事を作られるのだが、餅と小松菜のたっぷり入ったお雑煮と、大きな海老や烏賊のダイナミックな天麩羅の味は、今でも思い出すだけでヨダレ〜だ。
出産のことより食べた物の記憶の方が強い。
21歳の若い母親であったなあ。
あの頃の自分を思い出すと愛おしい。


次男と長女は二人ともフランソワ・ダシーズ(『アッシジ聖フランシスコ』)病院で生まれた。
【担当医はDR.DUBÉ】
次男は生まれた時3760グラム、これでも長男より50グラム軽い。
生まれた翌日にはベッドの上に座っていた。
・・・ってもちろん後ろに枕を重ねての話だが。
一人で座っていたらコワイよね。
長女は3310グラム、女の子は全体に楽に感じた。
三人目ということもあったのか、病院のベッドで胡坐をかいて座り、そこに丁度嵌め込むように寝せたまま平気で食事が出来た。
その格好はまるでゴリラそのものであった。
私は自然に陣痛が起きない面倒な体質のため、三人とも陣痛誘発剤を使った。
此方の病院では二人とも脊椎麻酔で出産。
だからあの〈苦しみ〉から開放された。
ま、あの陣痛を知らなければ、麻酔の有難さは感じないんだろうけどね。


母乳は最初の2週間ぐらい、あとは止めた。
最初から母乳だけでは足りないのでミルクと半々。
缶入りの濃縮ミルクをいくつかの哺乳瓶に分け、それを冷蔵庫に。あとは使う時に熱湯を入れて薄め、温度調整してからあとは飲ませるだけ。
この赤ん坊のミルクは栄養満点で、母乳がいいからといっていつまでも飲ませている必要もなくなった。
便利な世の中になったものである。
日本ではなんだか母乳を飲ませないと悪魔のような母親みたいな扱い!あれはやめてほしい。
そうやって散々ストレス与えて、母乳出せ!と言われても出なくなっちゃうよ。
乳牛じゃないんだし。
母乳は最初の濃いものを飲ませれば、あとはあまり意味がないとこちらの医者たちは言っている。
その滋養豊富なミルクを寝かせる前にたっぷり飲ませると翌朝までぐっすり寝てくれたので、産後の寝不足ということはなかった。
3時間置きの授乳などという時代は終わったのだと痛感した。


オムツも今や素晴らしい紙おむつがあるし、お尻拭きもメイク落としにも使えるほどの
肌にやさしいものが各種あるし、便利この上ない!
布オムツのあの大変さを知ってこそこの便利さが解るというのは確かだけどね。


あとは風呂、これもベビーバスで充分!
なにも家族と同じ風呂に入れなくてもいいのだ。
お父さんが風呂係なんてよく言うけど、外で家族のために働いて来て、それで赤ん坊の世話させるのってやっぱり相当負担があると思う。共働きは別だけど。
それだけ子育ては頭使えばそんなに重労働ではない。
子育てがストレスになっていたら哺乳類として失格だし。
楽しくても楽しくなくても、生まれたからには育てなきゃいけない。
それが哺乳類に与えられた使命だ。
人間だけじゃなく他の動物たちも同様だ。
おっと!風呂から哺乳類に話は移行してしまった。
さて風呂に戻そう。
台所の流しだって栓をすれば赤ん坊の一人ぐらい入れられる。
私は食卓の上に防水シートを敷いてその上にベビーバスを置き、お湯には少しのベビークリームソープを入れて
柔らかいメッシュの紙タオル(病院で使っていたものを分けて貰った)で泡で洗うぐらい、ゴシゴシ洗いする必要も無いので一枚の紙タオルで一ヶ月ほど使えた。
上がり湯?そんなのいらない。どうしてもって云う時はシャワーがある。
長女は10歳になった今でもベビーシャンプーを愛用している。
髪もボディも洗える便利なもの、大人もアトピー体質に向いているらしい。
J&JやDOVE、ロレアルなんかを使っている。


これで頭から全身洗える
赤ちゃんのベビーバスに入れて使うと便利


         
          DOVEの敏感肌用は北米の
          皮膚科医たちが一番に勧めている石鹸



ロレアル・キッズのシャンプー
此方の小学生に人気
ちなみにこれはスイカフレーバー、マグネットのおまけ付きだ
後ろに見えるはリステリン(ブルー)恐怖の激辛バージョン
あと少しでやっと終わる


現在104歳の祖母からよく言われたのは
「生まれてから100日は休まずに風呂に入れると丈夫な子供になる」
本当にその通り、効果は確実にある。


育児書なんかに頼る子育ては好ましくないみたいなことをよく耳にするが果たしてそうだろうか?
ケベック州が発行している育児書が病院で配られるのだがこれがよく出来ていて、じっくり読むと
「へ〜〜ぇ、なるほど」という内容が結構多い。
英語版を頼んでおいたら「ない」と言われ、仕方なくフランス語版を貰ってきたのだが、お陰様でこれで随分フランス語を覚えた。


以上が、「少しでも楽しよう、棚ぼた人生」を
そのまま生きている人の子育て記である。