息子へ

Jは辻堂海岸で生まれた、まさに湘南人である。
父親とは3歳の時に別れ、15歳の時に永遠のお別れをした。
幼い頃から頭脳明晰で、成績はいつも一番だった。
大学卒業まで一番を通した。
毎年あった表彰式も最初は真面目に私も行っていたが、だんだんと飽きてしまい、息子一人で参加もしくは欠席で、後日表彰状は郵送してもらうという形式を取っていた。
家族総出のお祭り騒ぎで来ていた人がほとんどだったが。
わが家では別に珍しいことでもなんでもなかったのだ。


カナダでも日本でも、よく沢山の人たちから、「こんなに優秀で立派な息子さんをどのように育てたのですか?」と質問されるのだが、その答えは簡単明瞭。
私は彼を「いつも一番」と言い聞かせて育てて来た。
励ますわけでもない、ましてや教育ママとは程遠い私のことだ。
決して決して彼のお尻を叩くようなことはしなかった。
「Jちゃん、一番、Jちゃん、世界一、お利口Jちゃん、可愛い可愛いJちゃん」と言い聞かせて育てただけである。
勉強しろなんて一言も言ったことがない。
だって私が勉強大嫌いだったし。


この言い聞かせは大人になった今でも続いている。
そして私は生きている限り、3人の子供たちに言い聞かせていくであろう。
私がこの世にいる限り、この3人の子供たちが一番なのだ。
一番で、可愛いくて、世界一で・・・私だけの赤ちゃんたち・・・
大事な大事な赤ちゃんたち・・・・