ローレンシャンの魅力

私の住むローレンシャン山脈は地球上最古といわれ、標高も低めで最高900メートル足らずだ。
全体的になだらかな曲線を描いている。
この地下水が我々の生活用水なわけだが、当然ながら美味しい。お茶など入れる時には最高の幸せを感じる。
仕事上、他所の水を飲む機会が多いが、とても飲めたものじゃあない。
ローレンシャンの水の旨さを痛感する瞬間である。
うちに来ると、コーヒーやお茶よりもまず水を飲ませてくれというケベック人が殆どだ。
この水をお湯にするとまさしく温泉効果が楽しめる。湯上り後は一時間ほど身体はホカホカ状態だ。
身体の芯から温まるといって、両親はこちらに来るとしょっちゅう風呂に入っている。
こちらの浴槽は一般に浅いが、その中でも一番深い浴槽を、今の家を建てる時に注文した。
それだと日本の浴槽とそう違わない。
最近はケベックも「お風呂ブーム」で、テラスや庭先の林の中に4〜6人用の大きなジェットバスを取り付けて楽しむ。
アイスホテルでは厳冬にかかわらず、外に濛々と白い煙の立ち込めるジェットバスがあり、直ぐ隣にはサウナ室がある。もちろん水着着用である。
日本の温泉で外国人が水着のまま入って日本人からヒンシュク買ったり、脱衣場で泣き出す若い女性も多いと聞く。
日本への旅行を企画する時も、水着で入れる公共浴場をというリクエストをわざわざ貰うこともある。
しかし、日本の習慣を納得行くまで説明すれば殆どのカナダ人が理解を示し、「ではこの際、裸での入浴にチャレンジしてみようか。なんでも経験だし」と考え直す。


さてローレンシャンもどんどん奥に行くと大小の湖が点在し、民家が見あたらなくなって来る。
空気は完璧に浄化され、水も奥に行けば行くほど良質なものとなるらしい。
熊だけでなく狼も生息している。それはまさしく動物天国である。
地元では森や沼地の散策、熊の観察、そして狼の声を聞くというツアーもある。
紅葉以外にも魅力は多い。
もう少し観光化されている所には(主にモントリオール北部)、癒しの施設がたくさん作られ、マッサージ、それもちゃんと「指圧」と「按摩」と区別して、日本語のまま発音したり、よく日本の床屋で見られるようなパンパンと音が出るようなマッサージも最近流行り出した。
先日テレビをみていたら、「OFURO」という名前の施設が宣伝されていた。
そこの従業員の着ているTシャツにはデカデカと誇らしげに「OFURO」の文字が・・・
日本人である私はいちいちその文字が気になった。
日本ナイズされるのも結構だが、もっとケベック、ローレンシャンらしさを目立たせてほしいと思う。
フランスから移民して来た当時のインディアンとの文化交流に基づいた生活の知恵や、フランスに古くから伝わる技術も多い。インディアンたちは、松や糸杉を使ったオイルや薬をフランス移民に伝えた。
糸杉オイルでのマッサージには素晴らしい効果が認められている。
こうしたケベック人独自の癒しの文化をさらにこれからも探求し続けていくつもりだ。